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笹崎直哉のコラム
過肥について考える その5

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2021年7月20日

 牧場内にカラスがよくきているのをみかけます。最近ニュースでカラスは人間よりも色覚が優れているとの情報を得ました。具体的なその優れた特徴として

 ①カラスは3原色(赤、青、黄)に近紫外線を加えた4原色で外界をみれる
 ②油球と呼ばれる特殊なフィルターを持つため、色の識別する精度が高い
 ③紫外線も認識することができる

 が報告されていました。以上のことからカラスはモノを識別する際に、紫外線が重要な役割を果たしているということが分かり、家庭ゴミ被害の予防策として応用できないかと議論されていたようです。その結果紫外線をカットする特殊な顔料を塗り込んだフィルムを使ったゴミ袋が開発されました。カラスの色覚を撹乱させることで、ゴミ荒らしの被害を抑えようというのが目的のようです。いろいろと対策がなされる中で、こういった取り組みが畜産にも広がるといいなあとつくづく思いました。

 さて脱線しましたが、今回は母牛の繁殖成績と過肥がどう関係性するのかについて考えてみます。正直、過肥が繁殖成績にいい影響を与えるとは思えませんね。本題に入る前に繁殖障害(繁殖がうまくいかないケース)について少し考えてみましょう。皆さんはどんなお悩みをお持ちでしょうか。発情がこない、発情がきても排卵しない(卵が硬い)、卵の発育が良くない、黄体の形成が悪い、うまく着床しないなど沢山のケースがあると思います。過肥の牛さんでよく出会うパターンは発情がこない、排卵しないといったものです。さらに直腸検査やエコーで卵巣を確認してみると、大きく育ったまま残存した卵胞を触知することが多いです。これを卵胞嚢腫といって農家さんはよく「嚢腫」と表現されることが多いようですね。さあ厄介な嚢腫ちゃん、、、どう対処していきましょうか。

 私は過肥でかつ卵胞嚢腫になってしまった母牛に出会ったとき、意識していることがあります。それは焦って急にエサの量を減らさせないということです。これは濃厚飼料、粗飼料どちらにもいえることで、急激に減らすことでカロリー不足やビタミン不足となり卵巣や子宮に栄養が届かず、かえって卵巣静止を招くことがあるからです。例えば粗飼料です。粗飼料の給与量低下は乾物摂取量の低下にもつながり、ストレス(いわゆる腹ぺこストレス)が生まれ、黄体機能が低下する可能性も否定できません。

 このような牛さんに対する治療アプローチはいろいろあると思いますが、ひとまず獣医さんに相談したり、実際に診察してもらって、ホルモン剤を打ってもらったり、子宮洗浄や薬注入などの治療をしてもらうのが良いかと思います。もちろんビタミンの補充も良いと思います。いろいろなケースがあるので何ともいえませんが、エサに関しては無事受胎してから、ゆっくりと減らしてダイエットさせてあげるのが理想なのではないかと個人的に思っています。

つづく

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