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松本大策のコラム
新生児の神経症状

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2021年7月19日

 みなさんはこんな経験ありませんか?

 子牛が生まれたのはよいけど、なんか痙攣して目の動きもおかしい。僕のコンサル先からもこのような相談がありました。

 ビデオを見ても、眼球震盪やのけぞるような神経症状で起立不能、というより姿勢制御不能です。

 今ではあまり見かけませんが、僕が獣医師になった頃は、このような症状を呈する「ヘモ」と呼ばれるヘモフィルス・ソムナス(今はヒストフィルス・ソムニと細菌名が変わっています)感染症という病気でよく見かけた症状です。

 「伝染性非化膿性血栓塞栓性髄膜脳脊髄炎」という早口言葉みたいな病名が正式なものです。今ではワクチンがありますからあまり見かけなくなりましたが、以前は共済組合の死亡・廃用事由のNo.1でした。僕らが学生の頃は「6ヶ月齢未満の子牛では発症は見られない」と言われていたのですが、生後すぐに同様の症状を呈する子牛を何頭も診て (同定していないのでヘモとは言い切れませんが)、ヘモの時と同じ処置をしてみると治っているので、今回もその処置をお願いしました。

 驚いたことに、翌日には普通に戻って起立していたので、ラッキーな症例としてコラムに載せました。

 なんにせよ助かってよかったー。

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