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笹崎直哉のコラム
過肥について考える その3

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2021年7月6日

 最近、たくさんの農家さんから「ついに笹崎先生の苦手な夏がやってくるね」と言われます。鹿児島生活が6年目になりますが、毎年夏バテになるという傾向をつかまれているようです。実は現時点で真夏の砂漠の中で診療しているかのような感覚に陥り、ヒーヒー言ってます。さあ梅雨明けてからどうなるか。もう6年目なんだから気候に慣れろよと自分に言いたいのですが、やはりキツイです。

 さて前回は牛さんの体型を確認するうえでチェックポイントが大きく分けて3つあるとお伝えしました。厳密には牛さんのエネルギー収支状況を体脂肪の蓄積程度で判定するボディコンディション・スコア(BCS)で数値化し判定するのがよいと思います。このBCSの判定は一般的に5ポイント制で行われ、ポイント1は痩せすぎ、3は適度(平均的)、5は太り過ぎを表します。さらに中間値を0.25ポイントで細分化することもあります。例えば2.75とか3.25などです(BCSの判定法に関しては蓮沼獣医師のコラム第178話から写真付きで詳しく紹介されているので、興味のある方はチェックしてみてくださいね~)。私が学生のときは教科書や大動物臨床実習で「乳用牛は泌乳や乾乳のステージごとにBCSの目標値があるから、その数値を意識して牛さんを観察し管理していくことが重要だ」と習いました。具体的には乾乳期と分娩時は3.25~3.75、泌乳初期は2.50~3.25、泌乳中期は2.75~3.25、泌乳後期は3.00~3.50といった感じです。当時は数値だけだと非常に細かくて分かりにくいな~と感じていました。しかし簡単にいえば分娩してからは泌乳や授乳の影響で体重が減ってしまうけど、少しずつ次の分娩に向けて体重を増やしましょうということです。また「少しずつ体重を増やす」というのは非常に重要なポイントだと思います。この考え方は肉用牛でもリンクしており、分娩前後、自然哺育期間、離乳後などで母牛の体型がどう変化するかモニタリングするのは非常に重要です。

 母牛が適度(平均的)な体型を維持するため、個人的に重要視しているところが2つあります。この2つのチェックポイントは分かりやすいので、よく指標にしています。

 1つ目は尾枕の有無です。

 牛さんの尾根部に脂肪が蓄積すると、丸いたん瘤のようなものができます。これを尾枕と呼びますが、これがある牛さんは過肥と判断しています。なので尾枕ができないように管理することは繁殖成績改善の第一歩になります。個人的には経産牛というよりか未経産牛(繁殖用の育成雌牛)で尾枕の形成を注意して確認しています。

 2つ目はあばら骨3本です。
 どういうことだ~?と思われるかもれません。これは母牛の肋骨を観察し、適度(平均的)な体型かどうかを判断するもので、母牛を横からみたとき一番最後のあばら骨から前方へ数えて3本(第11~13肋骨)が見える程度が適正とされています。

 あばら骨が4本も5本も明瞭に見えてしまうようでは削瘦と判断します。一方であばら骨の「あ」もわからないくらい体脂肪が蓄積している場合は過肥と判定しています。この見方は慣れるまで難しいですが、参考にしてもらえると幸いです。

つづく

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