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笹崎直哉のコラム
デビュー戦

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2021年6月29日

 先日夜間診療がありました。難産で呼ばれまして、新人の加地獣医師と2人で向かいました。加地獣医師とは何回か難産の往診で同行し、補助に入ってもらっていたので、今回のお産は「よし!1人で最初から最後までやってみよう!」と予め伝えていました。ついに難産介助のデビュー戦です。

 到着後胎子のバイタルや姿勢を確認している中、、、とあるものを発見しました。

 陰部から胎盤が何個か垂れ下がり、羊水が赤色に変化していました。
 そうです、早期胎盤剝離を起こしていたのです。実はこの早期胎盤剥離というのは原因がちゃんと分かっていません。牛さんの場合、胎盤が多く存在するためほとんどの胎盤が剝がれるまで、かろうじて胎子に酸素が与えられますが、低酸素血症に陥ってしまうケースが考えられます。なのでこのような症状を見つけたら早めに胎子を娩出させてあげなければなりません。

 そういったプレッシャーもある中で、加地獣医師は特に焦ることなく粛々とロープワークを進め、問題なく胎子にロープを掛けることができました。その後産道の開き具合や胎子のサイズなどを確認し、経膣分娩できると判断したので牽引に進みました。結果は大成功!!無事に滑車を使うことなく娩出させることができました。
 幸いなことに、胎子はすぐに頭を持ち上げて立ち上がろうとするぐらい元気ピンピンでした。めでたし、めでたし。

 今後も初めての症例に出会うことが多々あると思いますが、落ち着いて処置することを忘れずに頑張ってもらいたいですね~。

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