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江頭潤将のコラム
No.40 OPU続報③

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2021年7月2日

 先月初めてホルスタインのOPUを実施しましたので紹介します(全体としては10頭目)。
 まず供卵牛のバックグラウンドですが、非常に改良熱心な農家さんが飼養されている牛で、日本記録を持つ牛のファミリーということでした。正直なところ、まだホルスタインに関わり始めて日が浅く、よく理解できていないのですが何やらすごい牛ということだけは分かりました。経産牛ですでにOPUも何回か実施したことがあるとのことでした。
 今までの和牛OPUでは使っていなかったのですがホルスタインなのでFSHを使用することにしました。乳牛ではFSHを使用したほうが、採取卵子数の増加、卵子の品質向上、発生率の向上などの効果があるとされています(和牛でも効果あり)。ホルモン処置プログラムについて文献を調べたり、実績のある先生にアドバイスをいただいたりしながらプログラムを決定していざ本番…。
 優秀な農家さん、優秀な牛、初ホルOPU、他にもいろいろ事情があり、久々にかなーり緊張しました。OPU終了後、ラボに持ち帰ってドキドキしながら検卵…。結果は50個採取できて34個培養でした。なんとか最初の目標はクリアといったところ。そして1週間後の結果をこれまた緊張しながらまだかまだかと待ちわびて…。培養結果は17個生産!!なんと発生率50%!!目ん玉飛び出るくらい驚きました。やはり良い飼養管理、良い培養系が組み合わさると良い結果が出るのだと感じました。なにより嬉しかったのが農家さんに「こんなに取れたのは初めてだ」と喜んでいただけたことです。

 今までのOPU結果をまとめてみました。

 ここから考えたのが、和牛はFSHを使わなくてもOPUで十分に胚生産が可能ではないか(FSHを使用すればさらに成績が上がる可能性があるがそこは費用対効果の検討が必要)、AランクよりB~Cランクの数がやや多いので若干吸引圧が高いのかな?(今のところ90~100mmHg)ということと、トータルハードマネージメントサービスの筒井先生が書かれているように(http://thms.jp/thms202104-04.pdf)Aランク卵子の数と生産できた受精卵の数が同じくらいになっていることです。生産できた受精卵がすべてAランク卵子由来ということはなくB~Cランク卵子からも発生しますが、だいたいの予想をたてることはできるのではと思っています。

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