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蓮沼浩のコラム
第671話:死亡数の変化 その3

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2021年6月24日

 川面に浮かぶ浮きの動きを見つめていると、精神が統一され、無念無想、明鏡止水の境地になります。フナ釣りは「武道」そして「禅」に通じているような気がする小生は相当やばい境地に入ってきてしまっています。

「何考えてるの??どこ行ってたの??何時だと思ってるの??いい加減にしてよ!!」
カミさんの逆鱗に触れ、一気に現実に戻ります。

 人口動態統計月報年計から、呼吸器系の疾患の死亡数の変化を表にしてみました。最初小生は新型コロナウイルスが広がったので、呼吸器系の疾患の死亡数は増加するのではないかと考えていたのですが、ふたを開けてみてビックリ仰天。
 例年と比べて大きく低下していることがわかりました。これには正直大変おどろきました。総数では令和元年は193234名だったのが、176170名と17064名も死亡数が減っています。その他の特殊目的用コード(新型コロナウイルス)による死亡数3466名を追加しているのに17064名も呼吸器系疾患で亡くなる方が減ったことは特筆すべきことだと感じました。

 特に印象的なのはインフルエンザになります。平成30年は3323名、令和元年は3575名と推移していたものが、なんと令和2年は954名なり。1000人を切っています。2621名も死亡数が減っています。73%も死亡数が減っています。すさまじい減り方です。
 肺炎も毎年9万人を超える方が亡くなっているのに、令和2年は78445名。17000名以上死亡数が減っています。とてつもない減り方です。呼吸器系疾患で死亡数が増えているのは誤嚥性肺炎の42746名のみでした。

 この結果をどう判断すればよいのか・・・・

 やはり小生は医療従事者の方たちのすさまじい頑張りと、三密の回避や外出自粛、マスク着用や手洗いの実施が大きく効果をだしていると思っています。これらの対策が、インフルエンザや肺炎の感染者数を大きく減らし、死亡数を大きく減らすことにつながったのではないかと考えています。当たり前と言えば当たり前のことなのですが、この当たり前と思われることの実施が実は非常に難しい。この死亡数の低下の数字の裏にはそれこそ、考えられないくらいに凄まじい努力と頑張りがあったことは間違いありません。

 しかし、ここでふと思います。上記の対策でインフルエンザや肺炎は激減させることができたのに、新型コロナウイルスは簡単に減らすことができていません。インフルエンザと比べて格段に感染力が強いことがうかがわれます。やはり強敵であることだけは間違いなさそうです。

 三密の回避や外出自粛、マスク着用や手洗いの実施は牛さんの世界ではなかなか実施が難しそうです。思いっきり「密」なところにみんないます。さてさてどうしたものか・・・・。

今週の動画「Dehydration 脱水」

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