2021年6月18日 〇媒精その1 牛の媒精培地はBO液(Brackettと Oliphantが1975年に報告したBrackett & Oliphant液、略してBO液)というものが基礎となっています。通常、IVFには人工授精用の凍結精液を使用しますが、凍結精液には耐凍剤であるグリセリンや細胞膜保護などのために卵黄などの他、死滅した精子も含まれています。これらの成分はIVFには不要なものであるため、生存している精子のみを選別する作業と余分な成分を除去するための洗浄処理を行います。そうすることでほぼ生存精子だけのきれいな媒精培地を作成することができます。また、この処理には精子に受精能獲得(キャパシテーション)という重要な機能的変化を引き起こす役割があります。受精能獲得が起きなければ精子は卵子と受精することができません。 一例ですが、媒精するときの精子濃度は300万/mlにしていました。この媒精培地に卵子を入れると、卵子に群がるたくさんの精子を観察することができます。僕はこれを見ながら、「お~、みんな健気に頑張っているな~」と生命の神秘を感じていました。 続く 前の記事 No.37 OPU続報② | 次の記事 No.39 家畜の改良技術 その29 OPU編 |