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松本大策のコラム
白癬注意報!!

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2021年6月14日

 みなさん、牛さんの仕事に携わっていると、一度くらいは白癬に感染したことがあるのではないかと思います。
 白癬というのは、皮膚糸状菌症といって、牛さんの皮膚にできるカビの仲間によって起こる皮膚病です。地方によって「がんべ」とか「とくふく」、「真菌」と呼ばれるものです。
真菌というのは、いわゆる「カビ」の仲間なので高温・多湿の時期には増殖しやすくなります。以前も、一度小さな女の子の顔に大きく広がった白癬のお話をしたと思うのですが、これからの時期に、牛さんからうつる機会が増えるので改めてお知らせしておこうと思います。

 牛さんの真菌症は、人間の水虫やタムシの仲間なのですが、人間ではあまり出ないトリコフィトン・ベルコーサムというタイプのカビなのです(人間の水虫は、トリコフィトン・ルブルム、タムシはトリコフィトン・トンズランスというカビです)。それで、皮膚科でも誤って違う薬が出されることがあって、特に湿疹などに使うステロイド剤などを使用すると、悪化するのです。ステロイド剤は、皮膚の免疫を低下させてしまうので、より真菌と戦う力を低下させるわけです。

 そうなると写真のように、重症化してしまいます。それで、いくつか注意点をお話ししておきます。まず、真菌が皮膚に付着して24時間経過すると感染が成立すると言われていますから、できるだけ皮膚は清潔にしておきましょう。

 それから、傷の絆創膏や腕時計のベルトの下などは、感染しやすいのでできるだけそこもきれいに(絆創膏も1日2回くらいは貼り替えるとか、腕時計も外すとか)しましょう。
 それから皮膚科を受診するときは、「牛のカビがうつった」と先生に伝えることです。もしご自分で治療しようと思う方は、水虫のお薬を使いましょう(あくまで受診することをお勧めしますが)。もしも湿疹のお薬などを使うと悪化してしまいます。

 最初の症状は赤い斑点みたいな感じで、次第にわっか状に広がっていきます。早い処置がとても効果的です。

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