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笹崎直哉のコラム
体験談~死産と双子~

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2021年5月25日

 「お産の後は、もう一度きれいに洗って消毒した手で産道の中をそっと探って、もう1頭入っていないかチェックするようにする。さらに産道が傷ついてないかチェックする」

 ルーティンワークのように実施していることですが、先日改めてその重要性を実感しました。

 少し前の話ですが、農家さんから「昨日分娩予定日前に子が産まれてて、しかも死産だった。今日、その親牛が食欲がないので、診察をお願いします」との稟告を受けました。さっそく親牛を診察してみると元気がなく、体温は40度を超えていました。そして、子宮の状態を確認しようと直腸検査を実施したところ、、、

 「ムム!!もう1頭胎子がいる!!」

 という驚きの事実が発覚しました。

 やはり胎子のバイタルサインはなく、子宮頸管の拡張は弱く、腐敗が始まっているかのような臭いの羊水が少量溜まっていました。早急に介助に入りましたが娩出には相当難儀し、時間がかかりました。
 1頭だと思ったら、翌朝もう1頭産まれてた!という経験をお持ちの農家さんいらっしゃると思いますが、今回は死産で、且つもう1頭が出てこないケースでした。

 今回は死産だったので例外ですが、普段当たり前かのように、やっている分娩後の産道チェック。改めて大切だなぁと思いました。

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