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笹崎直哉のコラム
農場内で検査を行うメリットとは

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2021年5月18日

 先日農家さんからこんな診療依頼を受けました。
「1ヵ月齢くらいの子牛が下痢をしていて、抗生剤を使ったりいろいろ試してもなかなか良くならない」とのことでした。
 この稟告を聞いた時点で笹崎はコクシジウム、クリプトスポリジウムなどの寄生虫、細菌、ウイルス感染による腸炎の可能性が高いのではと判断し、診療に向かっている道中「どのように対応していこうか」と試行錯誤していました。
 治療を提供する際に、笹崎が常日頃から意識していることが2つあります。1つ目は診断を必ずつけることと疾病の原因追究です。2つ目に疾病の早期発見、早期治療です。

 今回のような腸炎症例では「糞便検査」と「検査結果が出てからのアクションプラン」が鍵を握ります。農家さんにも納得してもらえるよう説明したいのと、スピーディーに治療に取りかかりたいという思いもあり、今回は農場内(On-Farm)で且つ、農家さんの目の前で糞便検査を行うことにしました。ちなみに検査で使ったのは「テトラストリップス」という糞便検査のキットです。ちょうど診療車に載せていました。このキットはロタウイルス、コロナウイルス、クリプトスポリジウム、病原性大腸菌の4種を検査対象としています。

(↓弊社のYouTubeチャンネルでも「糞便検査 ケース1 Fecal Examination Case1」というテーマでテトラストリップス検査キットの動画を紹介しています)

 ご覧のように、結果はロタウイルス陽性でした。10分もかからないうちに結果が出ました。これなら下痢止めの薬を飲ませたり、抗生剤を使用しても治りが悪い理由が分かりますね。結果が出たら、取り急ぎ治療を行い、適切な消毒薬と消毒方法についてお伝えし農場を出ました。
 このように農場内での検査は、スピーディーに結果をお伝えできるのと、農家さんとのインフォームドコンセントが丁寧にできるので非常に重要です。

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