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戸田克樹のコラム
第333話「隔離という第3の選択肢」

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2021年5月12日

普段は緊急の電話がきたときすぐに車を発進できるようにコンビニ弁当やドライブスルーで済ませることが多いランチですが、研修生を連れて回るときは飲食店でいっしょにご飯を食べます。最近はランチ中にお産など緊急性の高い連絡があることはあまりないのですが、やはり食べ終わるまで携帯が非常に気になりますね。今日もランチの間は緊急連絡が来ませんよーに!(笑)

黒毛和牛の治療では「隔離」という選択肢をとったことで病状が改善する、もしくは安定するというケースがあります。

「いろいろな治療法を試したけどあまり効果がない」
「同居牛が強くてよくいじめられているせいか明らかに発育が遅れてきた」
「肺炎は治ったんだけであまり採食量が上がってこない」
「治療でよくなるんだけど、定期的に再発する」

というような牛に対して1頭部屋に隔離するとその後の病状や発育(採食量)が改善する場合があるのです。1頭になることで自分のペースでエサをゆっくり食べられますし、同居牛の動きに左右されずゆっくり休めるため、精神的にも落ち着くのでしょう。「ゆっくりと休める。自分のペースで過ごせる。」ということが隔離のメリットですね。さらに1頭にすると、その牛に食べてほしい添加剤も同居牛に奪われることなく食べてもらうことができます。同居牛が食べる分を考えて多く添加しなくてよいので、添加量も減りますね。

隔離牛舎や空いている部屋がある農場はこうした対策がとれるので非常に助かります。
中には隔離したいけど部屋がなくてできないケースもありますからね。経営のためには牛舎をフルに使う方がよいのですが、隔離用に数部屋だけとっておく、もしくは今は使っていない古い牛舎を隔離用に改築する、という対応ができる牧場はぜひトライしてみてください。

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