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戸田克樹のコラム
第332話「2日目の不安―疾病編―」

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2021年4月28日

鼻がつまったりすると、今まで呼吸をしていたってことがわかりますよね。
なんて、バンプオブチキンの曲みたいなことを思いながら鼻づまりと格闘しています。寒暖差が激しすぎてついていけません!

初診から重度の肺炎や乗駕による起立不能など緊急出荷が頭をよぎる症例に遭遇することは多々あります。誰がどう見ても「これは危ない!」という場合はすぐに出荷に向けた段取りをとるのですが、中には「むむう~…。投薬によってもしかしたら回復するかもしれないな。」とか、農家さんに「ちょっと頑張って治療してみてよ。もう少し肥育したいし、これいい牛なのよ。」と言われるような症例もあります。いけるかどうかの判断はどうしても経験に頼る部分が大きいのですが、そうしたときは思い切って「治療する」という選択肢に舵を切ることがあります。最短の休薬期間にとどめることはもちろんですが、いけるかどうかギリギリの症例に対して投薬をすると決めたときは翌日の診療が非常に気がかりです。

投薬に対して大きなリアクションがありその後しばらく肥育できた、もしくは肥育期間を満了した症例もあります。こうなると心の中でこっそりガッツポーズです。
まったく変化がなかったので、休薬が切れるまで延命処置に切り替えた症例もあります。こうなると点滴などの処置をしながら「がんばろーなー。がんばろーなー」とずっと念じることになります。

どちらに転ぶかやってみないと分からないような症例では、必ず農家さんへの説明を十分に行った上で最終的な判断を畜主に任せます。判断が難しいケースはこれからも出てくることでしょうが、十分な説明やお互いが納得した上で治療を進めることは非常に重要になってきますね。

ちなみに、絶対に今日出荷した方がいいのに今日は祝日でと場がお休み!というケースもありますのでそのときも非常に憂鬱です…。

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