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蓮沼浩のコラム
第662話:アナフィラキシー その3

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2021年4月15日

 最近忙しくなってきたのでなかなかフナ釣りにいけません。そんな時に師匠たちから「のっこみ」で尺半以上(45cmオーバー)を上げた話や、40上が結構釣れている連絡を受けると焦ります。

 ◎呼吸器症状

 呼吸困難、気道狭窄(きどうきょうさく)、喘鳴(ぜいめい)、低酸素症

 今回はアナフィラキシーの中でも生命にかかわる呼吸器症状について紹介しますね。今までの経験から小生はこの呼吸器症状が出るアナフィラキシーは、生後半年以内の子牛に発生する確率が高いイメージを持っています。若齢の子牛にワクチンを投与し、しばらくして見回りにくると、ワクチン接種した子牛が呼吸器症状を発症していてビックリすることがあります。

 呼吸器症状には様々なものがあります。呼吸数が上がり胸式呼吸をするもの、泡沫性の流涎を出しているもの、口から喀血しているもの、激しい喘鳴(ぜいめい)が聞こえるもの、急激な発熱など程度の差はありますが、どれも緊急性を要する症状になっている場合があります。

 アナフィラキシーの呼吸器症状は、対応が遅れると死につながる非常に危険な状態なので、必ずワクチンを投与した後は子牛の状態をしっかりと観察し、異常がある場合は速やかに獣医師に連絡する必要があります。特に血の混ざった泡沫性流涎を口から出して胸式呼吸をしている症例は死亡率が高く、非常に危険です。

 獣医さんは必ず診療車の中に、アナフィラキシー対策として「アドレナリン」の注射薬を常備しておく必要があると思います。シェパードでは「ボスミン注」を緊急用にすべての獣医師に持たせています。抗ヒスタミン剤やステロイド剤で対応できる症例もありますが、アナフィラキシーショックの場合は、速やかに特効薬であるアドレナリンの注射をする必要があります。危ないと思った時は速攻で筋肉注射もしくは静脈注射を症状に合わせて実施することが肝要です。

 ワクチンの種類によってもアナフィラキシーが出やすいものがあります。そして若齢の牛さんほどアナフィラキシーが出やすい傾向もあります。このようなことを絶えず意識して、安全なワクチネーションを実施する必要があります。

今週の動画「Anaphylaxis アナフィラキシー」

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