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戸田克樹のコラム
第330話「滑車で牽引するときの注意点 その4」

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2021年4月14日

久しぶりに大学の同級生と会いました。会話のメインは仕事のことと家族のこと。子どもの話も多かったですね。一番驚いたのが、大学を卒業してすでに8年目に突入したということでした。アンビリーバボー…( ゚Д゚)

さて、経膣分娩が可能かどうかの判断基準のひとつに「胎子の体表を一周なでることができるかどうか」というポイントを挙げました。なんの障害もなくこれが実施できる場合は躊躇なく経膣分娩を選択してください。

しかし、ときおり「一周はできるけど結構きつい…」というケースにも遭遇します。力を入れないと一周できない、とか、一周できるけど手が骨盤に当たって結構痛い、といった場合ですね。この場合、肋骨骨折が発生しないか、あるいは牽引途中で引っ掛かってしまうことがないか、などの不安が頭をよぎります。そこで最後のポイントのご紹介です。

チェックポイント④「頭位では鼻先まで、尾位では飛節が出ない程度まで軽く引っ張ってみる」

要は、とにかく一旦少しひっぱってみるということです。頭から出てこようとしている場合には鼻先が見えるくらいまで、後ろ足から出てこようとしている場合には飛節が完全に外陰部から出ない程度にまで引っ張ってみて、そこで牽引をストップ!その時点で改めて胎子の体表を一周撫でられるかどうかを確認し、そこで最終判断を下せば大丈夫です。

この位置ではまだ臍帯は切れていませんので、ここから「やっぱり無理!帝王切開だ」とオペに切り替えても十分間に合います。
(※ただし、早期胎盤剥離が起こっている場合や破水から長時間が経過していて胎子のバイタルが弱まっている場合などはあまり時間的に余裕がないので速やかな確認が必要です。)

ここまでいろいろと書いてきましたが、子牛の大型化が進んできた現在、滑車はすでに分娩における必須アイテムとなっているような印象があります。そんな中で私たちに必要とされるのは、滑車で牽引していいのかどうかを見極める判断スキルです。判断が難しいお産は多々ありますが、このシリーズがその一助となれば幸いです。

おしまい

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