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戸田克樹のコラム
第329話「滑車で牽引するときの注意点 その3」

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2021年4月7日

最近、某うどんチェーン店のかき揚げを食べると胃がもたれるようになりました。すでに消化管はもう若くないのでしょうか!!!!(悲哀)

経膣分娩が確実にできるという判断ができたら、いよいよ滑車をセッティングしましょう。その際、ロープに絡みがないこと、滑車に破損がないこと、固定する柱や枠場が牽引に耐えられることをまずは確認しましょう。ちょっとしたトラブルがお産では命取りになります。どんなにささいなことでも、分娩介助者のメンタルを荒波に叩き落す可能性が大いにありますので、トラブルの種は事前に、確実に摘み取ってあげましょう。

チェックポイント③「陣痛に合わせた牽引を心がける」
経膣分娩が確実にできると自信を持って言える場合は、少しずつ牽引していき子牛を出してあげましょう。ポイントはズバリ「母牛の陣痛に合わせる」ことです。分娩介助者のタイミングだけで引いてしまうと産道裂創を招いてしまったり、分娩後に努責が持続したせいで子宮脱を誘発してしまったり、というケースが起こる場合があります。また、産後の疼痛が強いと、子牛のリッキングをしない、あるいは子牛に攻撃を加えるなどの問題が生じるリスクも高まります。母牛が力んだら引く、母牛が休んだら休む、という「母牛にリズムを合わせる」ことを心がけながら滑車での牽引を行ってみてください。

問題は「出せそうだけど…んー…どうなんだろう…むー…」というように、牽引ができるのかどうかの判断に迷いが生じている場合です。お産はやはり経験数がものを言います。慣れないと(たとえ慣れていたとしても)この判断に迷いが生じるケースはどうしてもでてきます。牽引ができるかどうかギリギリの状態で判断がつけられない!という場合の対処法を次から紹介します。

つづく

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