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笹崎直哉のコラム
バイオジェニックス その1

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2021年4月13日

 4月に入り気候も暖かくなったので、先日矢筈岳(やはずだけ)に登ってきました。矢筈岳は、熊本県水俣市と鹿児島県出水市とにまたがる山で標高は687m。そこまで高くないですが友人に「山頂からの眺めがいい」と勧められたので、登ってみました。天気に恵まれ、天草や霧島まで見渡すことができ絶景を味わうことができました。どうやら矢筈岳はトレイルランニングの大会も開催地でもあるようです。山道が綺麗に舗装されている理由の1つにそれがあるのかもしれません。今度参加してみようかな、、、。

 さて最近になりテレビ、ネットやニュースでよく「バイオジェニックス」という表現を見かけます。これは私達人間をはじめ動物の生活の基盤となる食品に関連して取り上げられるキーワードです。この「バイオジェニックス」に関しては未だに解明されていないことが多いのですが、ちょうど2年前に私が黒毛和種の哺乳期の牛さんを対象に行った乳酸菌死菌体製剤の添加試験にも関係する重要な分野ということもあり、妙に親近感が生まれ調べてみました。せっかくなので紹介していきますね。

 いきなりバイオジェニックスについて紹介となると混乱を招いてしまいそうなので、まずは食品の機能について触れていきます。食品の機能は大きく分けて3つに分類されており、第1次機能として「栄養」、第2機能として「嗜好いわゆる美味しさ」、第3機能として「体調調節」があげられます。

 第1機能は生存に必要不可欠なエネルギー源や生体構成成分の補給に必要な栄養素としての機能を指します。例えば糖質、脂質、タンパク質、無機質などです。ちなみに私は糖質や脂質の多く含まれた食品が大好きです。しかし過剰摂取は健康に良くないので食べ過ぎないよう意識しています。

 第2機能は味、におい、色、舌触り、形や大きさを例に私達の感覚器に影響を及ぼすことにより生まれる機能を意味します。「感覚機能」と呼ばれることもあります。最近はこの第2機能をターゲットにした食品が世に沢山出回っているように思います。

 第3機能と呼ばれる「体調調節機能」は、生体防御(例えばアレルギー低減化、免疫賦活など)、疾病予防と回復(例えば高血圧、糖尿病予防、先天性代謝異常予防など)、体調やリズムの調節(例えば神経系調節、内分泌系調節など)さらには老化抑制(過酸化脂質生成抑制など)といった作用があげられます。この時点で体調調節機能は私達の健康を維持する上で大きな役割を担っているように思えます。さらにこの体調調節機能をもった食品を機能性食品と呼ばれ、その作用メカニズムの観点から、プロバイオティクス(probiotics)、プレバイオティクス(prebiotics)、バイオジェニックス(biogenics)の3つに分けられます。ついに気になっていたキーワード「バイオジェニックス」が登場しました。一方で「プロバイオティクス」や「プレバイオティクス」はスーパーやテレビCMでよく見かけるフレーズですね。

 次回からこの3つについて詳しく触れていきます。

 つづく。

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