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ジアルジアのお話

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2021年4月12日

 みなさんは、あんまり聞き覚えのない名前ではないかと思うのですが、ジアルジア(別名ランブル鞭毛虫)という困ったちゃんもいます。

 こいつは、育成牛に寄生すると軒並み下痢が広がっていって、しかも牛さんが急速に痩せていくのです。

 この原虫は犬や猫からも感染するので、もしも牛さんで感染が広がったときは、わんこやにゃんこも駆虫してあげた方がよいです。

 しかし、簡単に駆虫と言っても、同じ原虫でもコクシジウムの特効薬であるサルファ剤は、全く歯が立ちません。チニダゾールという特殊な駆虫薬を使う必要があります。
 ここで注意が必要なのは、同じ系統の「メトロニダゾール」という薬も効果があるのですが、こちらはポジティブリストで除外薬物に指定されていますので、こちらを使うと牛さんは出荷できなくなるんです。

 チニダゾールだけで効果が弱いようでしたら、クロルテトラサイクリンを併用すると効果的です。

 消毒ですが、蒸気高圧洗浄機のスチームで消毒するのが、最も効果的です。火炎消毒でもかまいません。問題は、牛さんの身体に付着したものをどうしていくか?ということなのですが、4級アミン消毒薬(クリアキル、ロンテクト、アストップなど)が比較的効果がありますので、牛さんを移動する際によく洗浄して、これらの消毒薬を牛舎に噴霧して(その際に、不可抗力的に牛体にかかるものは、制限外で許可されているのです)、しっかり牛さんの身体に付着したものも広がらないようにしましょう。

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