2012年2月24日 代謝性腸炎は、発見が早くステロイドによる治療が速やかに行われれば、重症化することは少ないです。水下痢をしたその日は全く餌を食べなくても、次の日には食欲はすぐに戻ります。 ですが、発見が遅れた場合や、「そのうち止まるだろう」と思って積極的な治療を行わない(生菌剤やビタミン剤を飲ませるだけなど)でいると、エンドトキシンは肝臓のみならず全身のあらゆる組織を傷害します。足は4本とも腫れあがり、立ち上がる元気もなくなり、体の表面や口の中が冷たくなるほど血液循環が悪くなり、呼吸の異常を伴って、最悪の場合、死んでしまう事もあります。つまり、局所の肝炎や腸炎を通り越して、全身性の「エンドトキシン血症」もしくは「エンドトキシンショック」の状態になってしまっているのです。 ここまでなると、注射の1本や2本では治りません。循環を改善するために補液がたくさん必要になりますが、心臓の機能も弱っているので非常にゆっくり点滴をしなければならず、場合によっては強心剤の投与も行います。しかし強心剤は出荷規制がつくので、状態が改善しなかった場合に出荷することが出来なくなるというリスクもあり、非常に難しい判断を迫られる場合もあります。 中期以降の牛さんが下痢をした場合はこの様に重症化するリスクもあるので、なるべく早く獣医さんを呼んで下さい。 前の記事 下痢を考える(13) | 次の記事 下痢を考える(まとめ1) |