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笹崎直哉のコラム
メジャーを見てふと思う

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2021年3月30日

 最近は難産で呼ばれることが多くなり、体力を消耗気味の笹崎です。しかし無事何事もなく経膣分娩できれば疲れが吹き飛び、清々しい気持ちになります。おかげさまで忙しい日々ですが来月から新年度がスタートするので、モチベーション保ちつつ残りの3月を乗りきっていこうと思います。

 今回のコラムは牛さんの体重についてお話しようと思います。突然ですが「体重」と聞いて皆さんはどんなことを想像しますか。牛さんに関するデータや雑誌をみると体重に関わることは意外にも沢山掲載されています。
 例えば黒毛和種子牛の取引価格状況をみると表の項目には市場名、日付、頭数、高値(円)、平均値(円)、日齢(日)、体重(kg)、kg単価(円)があげられ、体重は価格を左右する数値のうちの1つであることが分かります。繁殖農家さんであれば日頃から1日当たりの増体重(DG:Daily Gain)をよく意識して管理されているように思います。もっと具体的にいえば昨年は雄、雌平均でDGが1.1kgだったから、今年は1.15~1.2kgを目指して頑張るぞと明確な目標を決めて日々努力されている方もいるのではないでしょうか。出産のときでさえ「○○kgの子が産まれた」とすでに赤ちゃんの体重を意識してしまいます。
ではこの「体重」を普段どのようにして測定していけばよいでしょうか。牛さん専用の体重計を備える農場は限られているので、定期的に体重をはかり、モニタリングするのは現実的に困難です。そこで「農家さんが苦労せず継続して牛さんの体重測定するにはどうすればいいか」と考えていた笹崎は診療車のツールボックスにあった「メジャー」をヒントに思いつきました。

 そうです。答えはシンプルです。胸囲を計測して体重換算すればよいのです。胸囲測定は体長や体高ほどに姿勢の影響を受けにくいので、誰でも比較的手軽に実施できると思います。あくまでも胸囲から得られる体重は推定値ですが、哺育期、離乳期などステージごとに分け、継続してはかってみれば貴重なデータが集まるかもしれません。とにかく数字にしてみるというのは非常に重要なことなので「うちの牛、増体が良くないな」とお悩みのかたは一度試してみてはいかがでしょうか。

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