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戸田克樹のコラム
第326話「滑車で牽引するときの注意点~イントロダクション~」

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2021年3月17日

夜間のお産といえば牛の臨床獣医は避けて通れないお仕事のひとつです。何時に電話が鳴るか分からないソワソワ感、1人で最後まで対応しなければいけない孤独感(もちろん農家さんは傍にいますよ)、経膣分娩なのか帝王切開なのかの判断をしなければならない緊張感、そして無事に子牛が生まれたときの安堵感etc…。お産の立ち合いにはたくさんの感情が生じますよね。臨床医になりたてのころはいつ電話がなるか分からないソワソワ感で眠れなかったり、携帯が嫌いになったりしたものです(遠い目)。それでも無事にお産が終わったときは何とも言えない嬉しさがこみあげてきますよね。

お産のときに使用することも多い滑車ですが、人力より大きな力で牽引できるため短時間で娩出ができる、力の弱い人でも分娩介助ができる、といった利点があります。その一方で、牽引力が強いがゆえに経膣分娩が本来であれば不可な状態でも出せてしまうこと、また無理に引き出したために途中でひっかかってしまうケースも発生してしまいます。子牛の事故だけで済めばまだ良いのですが、母体の起立不能や重度の産道裂創(さらに裂創部への菌感染による膣炎や子宮炎)が生じてしまう危険性があります。

子牛の分娩介助用のロープをかけ、滑車をセッティングし、いざ引こう!となったその瞬間に気をつけてほしいポイントを次回から4回に分けてご紹介していきます。

つづく

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