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松本大策のコラム
原虫ってやっかいだよね

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2021年3月8日

 みなさん、寄生虫ってなんかヤですよね。それでもオステルターグ胃虫とか乳頭糞線虫などの線虫類は、イベルメクチン、いわゆるアイボメックの仲間の駆虫薬で比較的簡単に駆除できるようになりました。
 しかし、その陰で別の寄生虫が意外な猛威を振るっています。それは「原虫」と呼ばれる仲間です。原虫と言えばみなさんはまず「コクシジウム」を思い浮かべると思います。しかし、原虫にはほかにもやっかいな仲間がたくさんいます。
 なかなか駆除できない「クリプトスポリジウム」。あと、最近見かけるのが「ランブル鞭毛虫(ジアルジア)」です。

 それぞれの特徴と対策について考えてみましょう。

 コクシジウムは、写真のような形で、涙のしずくっぽいタイプとまん丸のタイプに分かれます。よく、血便を見つけると「コクシジウムだ!」という方がいらっしゃいますが、コクシジウムは粘膜の表面の上皮細胞に寄生しますので、そんなとこには血管はありません。コクシジウムが寄生して表面を荒らしていると、クロストリジウムというばい菌が感染しやすくなって、出血性の毒素を出すので血便するのです。

 鳥が来るところに血便が出るから「鳥の運ぶコクシジウムで血便が出た!」などとも言われますが、そもそも鳥のコクシジウムは牛さんには感染しないのです。血便の真犯人であるクロストリジウム・パーフリンゲンスというばい菌には、いろんなタイプがあり、コクシジウムの特効薬である「サルファ剤」を与えると、おとなしく死んでしまうのもいますし、何の変化もないのもいます。しかしあるものは、毒素をドッと出して牛さんを死に至らしめてしまいます。ですから、血便の際は必ずクロストリジウムをやっつけるアンピシリン系統の薬を使わなければなりません。
 では、コクシジウムの被害はどのようなものかというと、まず普通の下痢、軟便、そして牛の発育不良です。コクシジウムの予防薬としてバイコックスやベコクサンが開発されて、大変制御は楽になりました。シェパードでは生後20日目にイベルメクチンと併用して与えるように指導しています。

 さてお次は、あれ?文字数が足りないや。続きはウェブで、はなく来週!

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