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松本大策のコラム
これからの経営をちょっと真面目に考える

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2021年3月1日

 新型コロナ感染症も、なかなかすっきりと解決しませんね。どうも、僕らがのんびり地球の恵みを享受していた頃とは時代が変わってきているようです。これまでも、これからの経営についてお話ししたことはありますが、ここのところさらに懸念材料が増えてきていますので、再度これからの畜産を考えてみたいと思います。

 世界情勢を見ると、政治面でも貧しさ故の紛争やクーデター、政治・社会思想の違い(というより大国のエゴのぶつかり合いだと思うのですが)による一触即発の危機(尖閣諸島はじきに火がつく火薬庫です。中国は台湾を自国の一部にしたくてたまりません。そして尖閣諸島は台湾の一部だという認識です。)、中東もきな臭く、忘れてはかわいそうですが北朝鮮も危ない国です。このような中で、日本とアメリカ、オーストラリア、インドの4カ国による中国対抗連合が設立されました。これによって中国とオーストラリアの関係はこれまでになく悪化し、中国に流れることで日本に入ってこなかったオージービーフの日本向け輸出量が増加することは容易に考えられます。

 気候・環境面でも地球温暖化により、オーストラリアなどの粗飼料生産が滞り、日本でも粗飼料の入手が難しい状況です。オーストラリアでも自国の放牧がむずかしくなっているところが増えて、それらの牛はお肉として輸出されます。

 また、景気悪化と人口減少、ミニマムな生活スタイルの流行によって、新築件数が減り家具の売れ行きも悪くなると、木材加工に伴って出てくるノコクズも減少します。

 これらのことを考えると、むやみに頭数を増やすよりも、販売を考えた上で頭数は少ない方が経営危険率は低下すると思うのです。頭数がいれば、粗飼料も濃厚飼料もたくさん寄せなければなりませんし、そうなると品質が悪くても、価格が高くてもかき集めることになり、その結果は生産性の低下や事故率の上昇につながります。敷料が不足するとぬかるんだ床のためにお腹が冷えたり起き上がれなくて死んだり、脚を傷めたりといろいろ不都合なことが起こります。

 僕は「頭数を制限して高く売れる品質を保ち、販売を考える」という経営がベターではないかと考えています。F1だって、輸出を真面目に考えてもいいでしょう。国内では「国産牛」とか「交雑牛」とか、あまりイメージがよいとは言えませんが、これから日本が仲良くしていく「肉食文化」の国々へ「ハーフブラッド(半分和牛が入ってるんだぜ!)」というネーミングで輸出すれば、より価値は上がると思うのですが。
 輸送方法だって、遙か中東まで海水を積んで行って石油に積み替えてくるタンカーの甲板(60×300mもあります)にステーをつけて冷凍コンテナで輸送すれば、空荷のトラックを使うのと同じ理屈で、コスト軽減が図れます。

 僕より頭のいい人がたくさんいますから、そういう知恵を出し合って、効率的でリスクの少ない経営を考える時期ではないでしょうか。

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