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松本大策のコラム
「出荷前に牛を落ち着かせよう (その4)」

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2007年4月23日

 出荷前に肉色を改善するために、鹿児島ではよく黒砂糖を飲ませます。これは、ショ糖などを補給することによって血糖値を上げ、ストレスに抵抗できるようにするのと、筋肉中にグリコーゲンを蓄えて筋肉の酸性化を促し、枝肉の発色を良くする意味があると考えられています。おおむね250gから300g程度の黒砂糖を煮溶かして飲ませます。亜、もちろんさましてからね。農家さんによっては焼酎を湯飲み一杯くらい混ぜる方もいらっしゃいます。こちらも科学的に考えたら、アルコールは牛さんのエネルギー源である酢酸の材料だし、アルコールのまま吸収されれば血行も良くなるし、なんて説明できそうですが、どちらかというと「ここまで大きくなってくれた牛さんをねぎらってやる」という、農家さんの思いやりだと僕は思っています。
 出荷前に牛さんのストレスを軽減する添加剤として、ゼノアックさんからモラフィットというものも販売されています。これは糖蜜のブロックに、ビタミンEとGABAという乳酸菌が作る物質を加えてあるもので、ストレスを鎮静化する働きがあります。もっともよい効果を期待するには、1頭1日1kgずつ出荷前5日間与えるのがよいようです。現在は固形塩と同じようなブロックタイプの他に個別給与や飼料添加がしやすいペレットタイプも出ていますよ。
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