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蓮沼浩のコラム
第656話:久々に度肝を抜かれた!!!!

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2021年3月4日

 小生は結構長いこと牛の獣医師をしてきているので、牧場で起きる大抵のことには驚きません。何度も修羅場を経験してきましたし、今考えると驚くほど「滑稽」な出来事にも遭遇してきました。もちろん自分が「滑稽」な、そして「間抜け」な状態になったことは枚挙に暇がありません。自分の馬鹿さ加減に目の前が真っ暗になり、立ち尽くしたこともあります。「ヤブ沼先生」「泥沼先生」の本領発揮です。とにかく臨床現場の最前線でいろいろな経験をさせていただいています。

 そんな小生、先日いつもお邪魔する往診先で、診療を依頼されます。

 「あんな~~~~、下ん牛舎にわっぜ鼻垂らす子牛がおっとな。はんな診といてくいやん!」

 小生が「へ~~い!」と答えて子牛を見に行くと、いましたいました、鼻垂らしている子牛が!

 しかし、よく見るとなんだか鼻汁の色が妙に白い。熱も40℃以上。肺の音も悪い。明らかにおかしい・・・。

 農家さんに「なんか誤嚥してるように見えるけど、ミルク飲ませたの?」と聞くと農家さんは「あ~~~ん??ミルクは普通にやっとっど」とのこと。ここの農場は基本的に親付けですが、まれに人工哺乳をしています。しかし、子牛がそこら辺を歩き回っており、ハッチや個別管理などという概念はありません。特殊な農場です。とにかくその日は子牛の治療をしてもどりました。

 そして、数日治療して江頭先生が小生の代わりの往診に行ってくれた時・・・・

 江頭先生「蓮沼先生、と、とんでもないもの見つけました!!!!マジでやばいっす!!!」

 最初何のことかわからなかったのですが、写真をみさせてもらい久々に小生度肝を抜かれました。

 「な、なんじゃこりゃ~~~~~!!!!!」


あまりの凄まじさに絶句。これらは乳首ではなく、ストローであるというシェパード獣医師の共通見解となりました。

 今までそれはそれは、たくさんの不衛生なミルクボトルや乳首、そして劣化したり穴が大きくなったりしている乳首などゲップが出るほど酷いものを見てきましたが、今回発見された乳首は断トツ一番のすさまじさです。何と言ったらよいのやら、言葉にできません。只々、あらゆる面ですごいとしか言えません。今の時代にこれやるの????

 江頭先生が「これでミルク与えてるの???」と聞くと、農家さんが「じゃっど!」とのこと。「これが原因ですよ」と伝えると、農家さんが「じゃっどや~~~」とのこと。

 シェパードの獣医さん、事務所で全員ひっくり返りました。

 普段から小生は偉そうに「哺乳瓶や乳首の衛生状態は非常に重要ですよ!しっかりと洗浄消毒を徹底しましょうね!」などとのたまっていますが、いつも回っている診療先でこのような乳首が隠されていようとは思いもよりませんでした。別にここの農家さんは隠す気なんてサラサラありませんが・・・。

 臨床家の「感」として何か違和感があった時は、やはり深堀して調べる必要があると痛感しました。病気からその病気の背後にあるものを想像し、調べることは非常に大切ですね。

今週の動画「Blood sampling Part 2  採血(その2)」

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