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戸田克樹のコラム
第323話「咳!鼻水!・・・でも治療するべき??」

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2021年2月24日

ある牛を治療していると目の前の牛が

ええ!?死んでる????と思ったら

ええ!!!!!!
まったく人騒がせな牛です。よかったよかった。

冬は大人でも鼻水が出やすく困ってしまいますよね。牛さんも冬になると鼻水を出している個体が目立ってきます。そりゃあ、下の動画にあるようなこんな状態(聴診器をあてなくても音が聞こえる状態)であれば「おかしい!獣医師呼ばなあかん!」となりますが、鼻水だけだと判断に迷う場合もしばしば…。今回はそんな皆さんに獣医師を呼ぶ、あるいは治療をする目安をご紹介します。もちろん、あくまでも目安ですから今回紹介するポイントが絶対なわけではありませんのでご了承ください。

牛の場合、とにもかくにも「エサを食べているかどうか」が重要です。たとえどんなに鼻水がびっしりついていても、いつもと変わらずエサを食べにきて、すぐに後ろに下がることなく熱心にエサを食べているようであれば基本的に心配はありません。また、鼻水が透明である場合やうっすら白い場合も心配ありません(さすがに膿のように白くてドロッとしているときは体温を計ってほしいですが)。人間と同じで寒冷刺激によっても鼻水が出るケースがありますから、鼻水だけでは判断が難しい場合もあります。

ただ、頭を下げたときに「ぼたたたたたたた!!!」と水っぽい鼻水が垂れてきたときは要注意です!

「頭を下げて漏れ出てくる」ということはそれだけたくさんの液体が鼻腔内、気道内、さらには気管支内にたまっている可能性があるということです。こういうケースでは基本的には一度肺音や体温を確認し、重症ではないかの確認が必要です。薬剤を投与する場合にも出荷規制の日数はなるべく短めのものを選択し、急変した場合にすぐ出荷できるような体制を敷いていた方が無難でしょう。

さらにもうひとつのポイントが咳の有無です。私たちと異なり、牛は基本的には咳をしません。何かを喉にひっかけたり(誤嚥)、あるいは敷料、粉塵や目の細かい配合飼料が気管内に入ったりしてむせることはありますが、そうではなく普段から咳をする、あるいは走ったあとに頻繁に咳をする場合はこちらも要注意です。咳をする=気管内に異物がある⇒肺炎で気管内に炎症性滲出物が蓄積している、という可能性が高いからです。

ぼたぼたと垂れてくる鼻水、あるいは頻繁な咳を確認したら、その際はたとえエサを食べていたとしても獣医師などに確認してもらうようお願いします。

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