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蓮沼浩のコラム
第654話:伝染病予防の難しさ

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2021年2月18日

 この時期はいたるところで梅の花がきれいに咲いています。往診や通勤途中の道路わきに何本かお気に入りの梅の木があります。いつも見て癒されています。本当にきれいでいいですね~~

 小生の携帯電話には家畜衛生情報がとどくようになっています。そして、昨年末から鳥インフルエンザの発生報告が連続して届いてきます。肉用牛関係者の方はあまり知らないかもしれませんが、今日本中で鳥インフルエンザが猛威をふるっています。全国で49件の発生報告があります(2月11日時点)。千葉県では今シーズン10件の発生があり、千葉県だけで400万羽以上のニワトリが殺処分されています。1件の農場で100万羽以上殺処分されるなど、想像を絶する状態となっています。出荷制限などもあるので現場は大混乱だと思います。昨年の11月に香川県で発生してから、どこの養鶏場でも最大限の注意を払い、防疫体制を強化し、伝染病予防にとりくんでいることと思います。最新鋭の設備を誇る農場もあります。しかし、そのような状況にもかかわらず、鳥インフルエンザが継続して発生している状況をみると、本当に伝染病の予防は難しいと痛感します。

 薬やワクチンがあり、簡単に治療や予防ができる疾病はたくさんあります。しかし、これからは簡単に治療や予防ができない疾病をいかにして予防していくかということが益々重要になってきます。口蹄疫、鳥インフルエンザ、アフリカ豚熱、豚熱などは超重要疾病になります。アフリカ豚熱は徐々に世界に広がっており、昨年9月にはついにドイツにも侵入してきています。韓国は野生イノシシで現在も継続してアフリカ豚熱が発生しています。そして日本では依然として豚熱が野生イノシシから検出され続けています。

 人さまの世界のCovid-19のパンデミックは、世界を大きく変えてしまいました。今、日本中に広がっている鳥インフルエンザや豚熱も養鶏業、養豚業の在り方を大きく変えていく可能性があるのではないでしょうか。今まで以上に出来る出来ないは別としてアニマル・ウェルフェアの視点が注目されてくるようにも思います。飼養衛生管理基準の重要性も今後さらに高まってきます。食料安全保障という観点から、代替肉の重要性も増してくるかもしれません。

 畜産業の中では最先端を走っている養鶏業の今後の動きは、今後大いに注目すべき点があるように思います。

今週の動画「Funa 鮒」

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