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笹崎直哉のコラム
やっぱり初乳は大事だなぁ

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2021年2月16日

 今週のコラムは1度包帯チャンネルをお休みして、「初乳」をテーマにお話しようと思います。
 どの農場でも、まれに虚弱子牛といって体が小さく起立欲も元気もない牛さんが産まれてきてしまうなんてことがあると思います。
 こんな牛さんにはどんな対応が有効でしょうか。体を温めてあげるのも大事ですし、治療(点滴、注射、輸血)が必要な場合もあります。しかし早く何かしてあげないと、と焦ってしまう気持ちを落ち着かせて、まずはシンプルに「しっかりと初乳を飲ませてあげる」この一言に尽きます。初乳は非常に重要で、初乳を正しく飲んでいれば、虚弱子牛でもすくすく成長するケースが多く、農家さんからもそのような報告を多くもらいます。

 では子牛が初乳中の免疫抗体を吸収できる時間について考えてみましょう。実は生後6時間で吸収力は半分に低下してしまうのです。こうなると時間を意識せざるを得ません。早ければ早いほどよいのですが「生まれてから4時間以内に初乳を飲ませること」を目安にしてみてはどうかと思います。少なくとも6時間以内には飲ませたいですね。それと初乳はできる限り親の生の初乳を飲ませてあげた方がよいと思います。なのでお母さんが育児放棄で子に初乳を飲ませない場合は、代わりに初乳を搾ってあげて哺乳ボトルや注射ポンプ、油さしなどで丁寧に飲ませてあげることをお勧めします。乳房が張ってなくて初乳が出ない、または出る量が少ないときなどは初乳製剤を飲ませてあげて下さい。その際は初乳製剤を2袋分飲ませてあげれば十分だと思います。

 話が変わりますが、私は難治性の子牛の下痢治療に「初乳を飲ませる」が結構有効だと思います。これは抗体が腸管表面に働いてバリアを作ることを目的にしてます。個人的に効果をとても実感しているので、治療法の1にしています。

 「やっぱり初乳って大事だなぁ」と最近改めて思ったので紹介させて頂きました~。

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