2021年1月28日 最近「視診」や「望診」に凝っています。牛さんだけでなく、環境や農家さんも含めて。無意識に行っているこれらの診察を、これからは最重要ポイントと位置づけて、今まで以上に意識しながらやっていきたいと思います。 WBC 5000/MCL とてつもない貧血をおこしています。おそらくどこかで大出血がおきていることは間違いなし。当然臍動脈閉鎖不全を疑いますが、今回の事例ではお臍からは出血した形跡はありません。しかし、剖検をしてみると・・・ お腹のなかには血液が大量に漏れていました。詳細にみてみると、臍動脈を包んでいる膜が破れて、臍動脈からの持続的な出血がつづいていたことがわかりました。 本来であれば臍動脈から出た血液はこの膜の中にたまることで止血されます。しかし、膜が破れていることから腹腔内に血液が出続けてしまい大量の腹腔内出血を引きおこし、貧血→低体温→死亡という流れになっていたと推測しています。この臍動脈を包んでいる膜がなぜ破れてしまったのか原因はわかりませんが、分娩時もしくは分娩後のなにかしらの衝撃が影響していると考えています。生まれてきた子牛を丁寧に扱うことはこのような観点からも非常に重要であると思います。 今回は臍動脈閉鎖不全の流れから腹腔内出血を起こして死亡した事例を紹介いたしました。小生たちが思っている以上にこの臍動脈閉鎖不全は発生しており、子牛の生理的貧血のひとつの要因になっているのではないかと何となく思っています。
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