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戸田克樹のコラム
第319話「やっぱり導入チェックは大事② おまけ」

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2021年1月27日

陰嚢の触り方講座

男性なら十分お分かりでしょうが、陰嚢はデリケートゾーンです。触られれば牛は非常に嫌がります。興奮していれば蹴ってくる牛もいます。陰嚢の触診は常に危険ととなりあわせです。そこまでいかなくても、嫌がって腰をくねらせたりしてきちんと触診するまでに時間がかかってしまうこともあります。

そこでポイントないなるのが「立ち位置と触り方」です。
陰嚢触診の際、まずは牛の胸の近くにポジショニングします。
そして体は必ず牛の体に密着させましょう。

こうすることで後ろ足が飛んできてもすぐに避けられますし、足がそもそもこちらに届きにくくなります。さらに、密着させることで牛が体を動かしてもそれにうまくついていくことができます。

さらに、触るときは「精巣があるかもしれない」という意識のもと、しつこく触ってください。根元まで触ることも重要です。潜在精巣といって、精巣が腹腔内にとどまって陰嚢に降りてきておらず、そのまま放置されてしまっているケースもありますのでご注意を。

ちなみに、市場で「陰嚢のシコリ」と発表があった場合でも必ず触診してくださいね。先日「陰嚢のシコリという発表があった」という牛を触診しましたが、結果はこちらです。

患部は化膿しており、切開したところ大量の膿汁が出てきました。
陰嚢炎の名残で組織が硬くなっているだけであれば問題にはなりませんが、膿汁がたまっていると、のちのち陰嚢組織が自壊したり、そこが感染源になって発熱したりする可能性があります。やはり発表があったとしても確認は重要です。
つづく

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