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松本大策のコラム
コロナの対策で知りたいこと

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2021年1月18日

 みなさん、2021年が明けましたが、新型コロナウイルスによる被害は収まるところを知らないように見えます。いろんな国でワクチンが接種され始めましたが、このワクチンでコロナウイルスの抗体ができるには2~3週間後なので、その結果を期待したいところです。

 ところで僕が疑問に思っていることが一つあります。それは、なぜ「コロナウイルスに対するモノクローナル抗体」の開発が積極的になされていないのだろうか?ということです。
 言葉がむずかしいので簡単に解説しましょうね。ワクチンというのは、接種してその人に「抗体」という、病原体をやっつける免疫を作らせるものです。そこで作られる抗体は、ワクチンに入っている病原体(死滅させたり、弱らせて発症しないようにしたりしてあります)に対する効果しかありません。だから、インフルエンザのワクチンとか日本脳炎のワクチンとか、それぞれの病気に合わせて打たなくてはいけないのです。

 ワクチンを打つと、リンパ球のB細胞がワクチンに合わせた抗体を作ってくれるのですが、この「抗体を作れるようになったBリンパ球」をクローンで培養してたくさんの抗体を作るようにすれば、ワクチンを打たなくても、そのBリンパ球の作る抗体を与えることで、病気を防ぐだけでなく、すでに発病していても治療することができるのです。
 これがモノクローナル抗体というものです。ちなみにワクチンはすでに発症している患者さんに打っても効果がありません。

 そういうわけで、僕は新型コロナウイルスに対する抗体を作るBリンパ球をクローン化してモノクローナル抗体を作った方が有利じゃないの?と考えているのです。そうしたら、細菌性肺炎に抗生物質を使うように、新型コロナにはそのモノクローナル抗体を使うようにできるのでは?と思うんです。

 もちろん、僕よりもずっと優秀な医学者が考えているのですから、何かしら理由はあるのだと思いますが、そこが知りたいなぁ、と考えている今日この頃です。まさか、ワクチン開発にかかった資金をワクチンで取り戻すまでは…、なんてことはないでしょうけど。

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