(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
蓮沼浩のコラム
第645話:内需と外需

コラム一覧に戻る

2020年12月3日

 日本政府は農産物戦略重点27品目に和牛をいれています。これから輸出を強化していく意思の表れです。和牛の牛肉の輸出額は2019年に297億円だったものを、2025年には1600億円を目標にしています。あと5年で5.4倍に増やすことになります。輸出先は主に香港、米国、中国となっています。これから「輸出産地」を新しく設定し、国家が集中支援していくことになります。国内で和牛は15産地が2020年度中に設定される模様です。これから牛肉だけでなく、他の日本の農産物は世界を相手に商売をしていく時代に突入していきます。非常にスケールの大きい話ですね。今までは工業製品が主流だったMADE IN JAPANを農産物で世界に広めることになります。小生の勝手な思い込みかもしれませんが、間違いなく日本の農産物は世界No.1だと思っています。半端なくレベルの高いものがたくさんあると思っています。
 
 今、新型コロナウイルスの影響でインバウンドや外食の需要が大幅に低下したことから和牛肉の需要が低下しています。国家は4月から和牛肉保管在庫支援緊急対策事業を立ち上げ、強力に援助してくれています【ALIC 事業 49,486百万円】。大変な時期かもしれませんが、未来に間違いなく希望はあります。何とかこの時期を乗り越えていかなくてはいけません。
 4月から販売促進支援事業がスタートしています。令和4年度までは続く見通しです。販売拡大の取り組みとして以下のものがあります。

 ・新たな販売方法
 ・イベント・キャンペーン等の開催
 ・インターネット等を通じた直接販売
 ・ふるさと納税、アンテナショップへの販売
 ・輸出
 ・その他

 今、多くの食肉関連業者が和牛肉保管在庫支援緊急対策事業のもと上記の取り組みを一生懸命してくださっていると思います。最近は以前と比べて牛肉の特売や広告のチラシをよく見ます。令和4年度までに何とかいろいろな体制が整うようになりたいですね。
 
 ただ、ここで今一度しっかりとしないといけないことがあります。それは、伝染病対策です。口蹄疫が入ると、一発で輸出停止となり、国内に感染が広がってしまうと輸出の夢は水泡に帰してしまいます。今、HPAI(鳥インフルエンザ)が広がっています。CSF(豚熱)もイノシシで広がっています。牛さんの世界でも、飼養衛生管理基準にのっとり、衛生対策の準備も着々と進める必要がありますね。

今週の動画 「Useful items Part 3  便利なアイテム(その3)」

|