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肺炎の時期です

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2020年11月9日

 前々回のコラムで「外気温が15度を下回ったら呼吸器病に注意しましょう」というお話をしましたが、少し補足です。

 ウイルスに対しては、ワクチンでの対応が主体となりますが、やはり現場では細菌やマイコプラズマの二次感染に対しては、抗生物質による治療が主体となっています。もちろんこれはこれで妥当なのですが、誤った抗生物質の使い方をしていると、耐性菌が増えて結局は手の打ちようがなくなってしまいます。

 できれば、自分の農場の肺炎原因菌とそのばい菌の抗生物質に対する感受性検査を家畜保健衛生所か製薬メーカーなどで実施してもらい、1番最初に使うべきクスリや、その後に使うクスリなどを指導してもらいましょう。効かないクスリをだらだら使っていたり、効果のあるクスリを中途半端に使っていたりすると、どんどん耐性菌が生まれてしまいます。
 そういう使い方をしている農場や地域では、ほぼすべての抗生物質に感受性がない場合も少なくありません。そうなると抗生物質でばい菌を殺すという戦略はお手上げです。本来はそうなる前に上記の対策を打たなければならないのですが、すでに抗生物質がほぼ効かない農場では、別の戦略を考えなければなりません。

 肺炎の原因菌で問題となるのは、主にマンヘミア菌、パスツレラ菌、ヘモフィルス菌(あ、いまはヒストフィルス・ソムニって言うんだった。でもみなさんヘモの方がなじみありますよね)です。この3種類の細菌のワクチンがあるので、1ヶ月間隔で2回打ちます。筋注と書いてありますが、皮下注でもかまいません(確認済み)。これを打っておくとひとまず安心ですし、母牛か大きな牛さんにワクチンを打っておくと、今後の牛でワクチンの効果の出る前の牛(ワクチンの効果は2回目接種後2週間くらいかかります)に輸血をして抗体を移すこともできます。ただし、白血病の問題などもありますから、母牛候補とかには慎重にしてくださいね。

 それから、肺炎の病原菌のワクチンはその病原菌がエンドトキシンを持っているので、接種後2~3日で発熱することがあります。できれば抗生物質やビタミン剤などを同時に打ってあげて、発熱を乗り越えるようにしてあげましょう。ただし、発熱してもデキサ等の副腎皮質ホルモンの投与はしてはいけません。ワクチンが免疫を作るのを阻害します。

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