2020年11月5日 収穫の秋です。庭に植えた芋をほりました。安納、紅さつま、シルクスイート、金時、白紫といろいろな品種にチャレンジ。すべてほったらかしの状態でしたが、結構収穫できたのでしばらく芋には困らなそうです。 前回は「みて、触る」というお話をしましたが、今回のテーマである「聴く」ということも非常に重要です。もちろん獣医さんは聴診器を使って牛さんの体のいろいろな音を聴きます。大変重要なことです。しかし、小生が聴診器で聴くこと以上に重要なことと思っていることは、農家さんの「話を聴く」ことになります。 最初に聴くことになるのは、電話での往診依頼。この時の農家さんの声のトーンや話すスピード、雰囲気、そして性格などから農家さんや牛さんがどのような状況であるかを素早く察します。小生は今まで数えきれないくらいの往診依頼をうけてきましたが、この電話だけで大体状況は察することができるようになっています。別の獣医さんが電話で話しているのを横できいていても、誰と話して、牛さんがどうなっているのか大体わかるようにもなっています。地味ですが結構重要なテクニックだと思っています。 今、横で笹崎先生が農家さんに電話でおそらく「息が荒かで!すぐ来てくいやん!!」と言われていますが、そこの農場がどこの農場であり、その牛さんが決して急患でもないのに農家さんが急かしていることが小生には100%わかります。もちろん笹崎先生もわかっていますが、何かあるといけないのですぐに農場に向かいます。 今はSNSが発達していることから、電話が苦手な若手の獣医さんも多いかもしれません。しかし、まだ診療現場では電話が主流だと思います。一部ではSNSを使った往診依頼があるとも聞きますが、シェパードでは往診依頼は電話に統一しています。その理由の一つとして、やはり電話でなければ文字だけでは伝わらない多くの情報を得ることができないからです。ちょっと古い考え方かもしれませんが、小生はいつも「はい!!!蓮沼です!!」と元気に「昭和の営業」のノリで対応しています。しかしこれからはこのような往診受付のスタイルも時代とともにかわってくるかもしれませんね。 「おかしい牛がいるから、獣医さんで勝手にやっといて!!」などという事例も多々あります。もちろん獣医さんの方も「忙しいからあとで自分が診ておきます!!!」などということもあります。 もちろん電話で状況を報告したりして、しっかりと獣医さんは対応します。しかし、小生はやはり少し寂しいものがあります。それは、ただ単に農家さんと話が出来ないからです。実は小生、大のお話し好き。農家さんでいろいろな話を聴いたり話をしたりするのがとても好きなのです。しれっとした顔をしていますが、噂話やゴシップネタも大好きなお調子者です。小生が獣医師になった理由の一つに「牧場で農家さんと楽しく話したい!!」という、わけのわからない理由があります。そのためにはしっかりと「聞く」ではなく「聴く」技術が重要であると日々感じています。時々すごい大変なこともありますが(笑)、やはり農家さんとのコミュニケーションは産業動物獣医師の醍醐味ではないかと思っています。是非新人の獣医さんにはここの技術もしっかりと習得してもらいたいですね! 前の記事 第640話:みて、触る | 次の記事 第642話:すさまじい繁殖力 |