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戸田克樹のコラム
第306話「ヤギトーーーク!⑦」

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2020年10月21日

前回は高齢ヤギを特集しましたが、ヤギの一生ってどんな感じでしょうか。ステージごとの特徴と注意点をおさえていきましょう。

出生
ヤギは1匹、もしくは双子で生まれてきます。牛と同じでだいたい30分から数時間で自立し母乳を求めて歩き始めます。生まれてから何時間経っても立てない、あるいは立とうとしない場合は要注意です。また、人工哺育をする場合は体重の1/5の量がミルクの量の目安です。温度も重要で40℃程度に温めて与えましょう。ぬるいと飲まないことが多いです。飲まなかったらまずは温度確認をしてみてくださいね。

哺乳期
生後3か月くらいまでは母乳が大好きです。ヤギや牛などの反芻動物は草を食べるイメージが強いですが、この時期はまだまだ赤ちゃんで、草を分解できる第一胃が未発達です。必要な栄養は母乳だけで十分賄えます。ただ、私たちに野菜が必要なように、少量の繊維質(粗飼料)が哺乳期ヤギにも必要です。第一胃の動きをよくしてくれる、あるいは胃粘膜に付着した食渣をからめとるブラッシング効果も期待できます。生まれてから数日経つと母親の食べ物に興味をもったり、遊び食いをしたりしますので、「食べたいな~」と思った赤ちゃんヤギが草を食べられる状態にしておきましょう。この時期、ちょっとでも母ヤギと離れると寂しくて大きな声で鳴きます。哺乳期は常に母ヤギが傍にいる環境をつくってあげてください。

育成期~
3か月を過ぎればどんどん草を食べる量が増えていきます。このころから第一胃も十分に発達し草をしっかりと分解し、そこから栄養を得ることもできるようになっています。母親と一緒にしなくても問題ないので別飼いをして離乳させても大丈夫です。また、メスであれば生まれた年の夏~秋にかけて初回発情を迎えます。つまり、「子供ができる状態になっている」というわけです。オスヤギと一緒に飼っていると妊娠のリスクがありますのでご注意を。子ヤギが生まれても大丈夫、という場合でも初回発情で妊娠してしまうと骨盤の発達が不十分な状態でお産することになり、分娩に絡む事故が起こりやすくなります。そのため初回発情での交尾はできる限り避けてください。

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