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松本大策のコラム
そろそろ冷え込んできましたね

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2020年10月12日

 みなさん、稲刈りやワラ取りで1年で最も大変な時期だと思いますが、ご無理なさっていませんか?僕が言うのも無責任な話ですが、この時期過労で身体をこわされたり、集中力の低下から思わぬ事故やけがをなさったりなさる方も多いので、本当にご注意下さい。
 人間が忙しいと牛さんの観察もおろそかになりがちですから、この時期は急患も増えます。損害を未然に防ぐためにも、牛さんの抵抗力を上げるために添加剤なども上手に使ってあげましょう。

 まずお勧めするのは、給餌時間がずれたりして第一胃の発酵が乱れやすいので、そういうものを改善してくれるアースジェネターとかビオスリーみたいな生菌剤やトルラミンのような酵母製剤です。牛さんにとって健全な第一胃は、エネルギーやタンパク質を作る大切なところですし、もし発酵が乱れると、牛さんの病気の大きな原因であるエンドトキシンという毒素が発生してしまうデリケートなところですからね。
 それから夏バテの原因である「肝臓の疲労」を改善したり「活性酸素」を除去したりてくれるもの。僕のお勧めはもちろん自分で設計したリカバリーM(マージンは取ってませんからね)です。この添加剤には、すべての細胞のエネルギーを作り出すTCAかいろという機械みたいなものを回す潤滑油みたいな成分や活性酸素を除去してくれるビタミンEなど様々な成分を適正比率で配合してあります。

 それから、ビタミンAの不足は必ず補っておきましょう。最近では、ビタミンコントロールを取り入れる農場も少なくなってきましたが、僕の試験(2018年9月3日のコラムに載せた厳密なもの!)でも、どの時期にも通しでビタミンA(月100万単位の皮下注射)を与えたものと、ビタミンコントロールをやったものでは、ビタミンAを与えた方群の方が脂肪交雑は上だった、という結果が出ています。

 こうして先回りして病気の牛さんが出にくい様にしておくと、みなさん自身が楽をできます。畜産の仕事で一番いやなのは、病気の牛さんのお世話(獣医さんが来るのを待ってなくちゃいけないし、ね(^_^;))ですから。

 次回は、そろそろ対策をしておいたほうがよい「肺炎」のお話をしたいと思います。

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