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笹崎直哉のコラム
目標設定とそこに向かって その7

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2020年9月29日

 今回の血液検査でA、G、H牛が血中のビタミンA、βカロテン濃度が低下していました。取り急ぎこの3頭にはビタミンの補充をしようと思いますので参考にしてみてください。投与内容は、ゼノビタンADE注 5ml(ビタミンAとして250万単位)+ビタミンイー注 10ml+パンカル注 10mlに設定しました。またG牛はカルシウムの数値も低下していたので、上記ビタミン注射に追加してビタミンD3を投与しようと思います。ビタミンD3は腸管におけるカルシウムとリンの吸収を助けてくれるため、低カルシウム血症の牛さんの対し投与が推奨されます。

 さて今後は今回のような牛さんの発生を予防するため、ビタミン注射プログラムを考えてみました。まず分娩前1ヶ月にゼノビタンADE注 5ml(ビタミンAとして250万単位)+ビタフラルD3 5ml+ビタミンイー注 10ml+パンカル注 10mlの皮下注射を実施します。さらに分娩が済んだらゼノビタンADE注 5ml(ビタミンAとして250万単位)+ビタミンイー注 10ml+パンカル注 10mlの皮下注射をするように設定しました。
 このプログラムは分娩時におけるビタミンAの消耗を考慮して、分娩前からあらかじめ補充することを意識して作ってみました。これによりその後の血中カルシウムの維持や卵巣、子宮の機能維持、乳質改善効果が期待できます。

 βカロテンの改善に関してはいろいろな方法があると思います。今回は通常与えている粗飼料が稲ワラだったので、そこに青草、チモシー、アルファルファのヘイキューブなどを混ぜて給与するようにしました。

 それと余談ですが、今回のビタミン注射プログラムの導入や粗飼料の給与内容の変更がどのように反映しているかを確かめるため、2ヵ月後にもう1度血液検査をしてもいいかもしれませんね。

つづく

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