(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
笹崎直哉のコラム
目標設定とそこに向かって その6

コラム一覧に戻る

2020年9月15日

 4月17日からコツコツと地道に継続していた英会話レッスンは気がついたら99回に到達していました。時間でいえば49.5時間です。「100回受けたら自分へのご褒美に焼き肉食べるぞ!」と決めていたので、100回目のレッスンが楽しみでしょうがありません。現時点で成長したと思うのは発音と簡単な日常会話をスムーズに話せるようになったことです。

 さて前回はAST~BUNまでの検査項目について説明しました。今回はその続きとしてカルシウムの説明から入ります。血中のカルシウム濃度が低下しやすい時期として分娩前後が考えられます。分娩前であれば胎子の成長に伴い、母体のカルシウムレベルが低くなります。分娩後も乳生産でカルシウムを奪われるため低カルシウム血症になりがちです。これは特に乳牛で顕著ですね。カルシウムは筋肉の運動を調節したり、神経の活動を助けてくれるので、カルシウムが少ないと食欲低下、起立欲低下、神経過敏などの症状が出てきます。ひどくなれば起立不能なんてことも。繁殖母牛をベースに考えるなら、子宮の運動性が落ちてしまうことが怖いですね。分娩後は子宮がオキシトシンなどのホルモンの影響で、子宮が収縮し悪露を排泄しながら子宮が回復していきます。実はホルモンの分泌が十分でも筋肉を動かすのに必要なカルシウムが足りないとうまくいきません。

 次にビタミンAですが、これは母牛の繁殖成績を大きく左右する項目のひとつですね。卵胞の発育促進などいろいろな効果を発揮するビタミンAですが、残念ながら分娩時のストレスで多く消耗されてしまいます。その後の血中レベルが改善すればよいのですが、そのままだと繁殖成績を悪化させます。そのため一般的に予防として分娩前後にビタミン剤の注射、経口投与、期間を絞った飼料添加などの対策がされています。

 βカロテンは不足すると黄体中のプロジェステロン産生能が低下してしまいます。そうすると発情が弱い、発情周期が延長した、排卵が遅い、黄体形成が弱いなどの問題が浮上し、繁殖障害につながってしまいます。

 以上をもとに基準値を設定して結果をみてみましょう。なおビタミンAとβカロテンに関しては基準値として分かりやすい数値がなかったので、私の経験をもとに参考値として数値を掲載しました。ご了承ください。

 つづく

|