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松本大策のコラム
隔離した牛さんを群に戻すとき

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2020年8月31日

 今日は珍しく出張がなく、炎天下で社長として立派にゴミ置き場の解体と新設をしてたら、暑くてTシャツもジーンズも汗でぐしょ濡れでした。かと思うと、帯広の友達は空港から電話かけてきて「こっちは10℃もないっすよー。寒くて3枚着てるけど、ダウンでも持ってくればよかった!」と話してました。観光客は気温計の写真を撮ってたそうです。

 ところで、群で飼育している牛さんが足を痛めたり、肺炎などで群について行けないときなど、群から一時的に外して隔離することがあると思います(ない?)。
 そして、健康が回復したら群に戻したくなるのは人情です。効率を考えても元の群に戻した方がよいですよね。
 しかしせっかく元の群に戻しても、元の群になじめず、いじめられて群からはじき出される牛さんが出て来ることがあります。このとき、ちょっとした工夫で、速やかに病み上がりの子を含めて再度群編成を行うことができるんです。今回は僕がよくやっていただく方法をお話ししましょう。

 まず、「群れの牛と同じ広さの新しい部屋」を用意します。そこに「隔離した牛さん」を先に入れます。できれば1日後に元の群れの牛さんを、その新しい部屋に入れます。
空き部屋がない場合は、ほかの牛さんがいる部屋からその部屋の群を追い出して(一時的につないでおいてください)、そこに「隔離した牛さん」を先に入れます。できれば1日後に元の群れの牛さんを、その新しい部屋に入れます。追い出していた牛さんたちは、「元の群が出て空き部屋になった」部屋に移します。

 こうすることによって、「隔離していた牛さん」が先住者として強い立場になるので、いじめられにくくなるのです。これを「場の力学:ロケーションエナジー」といいます。

 できたら、群を再編成する前日から群再編成後2週間くらいまで、モラフィットSPを子牛で50g/頭、大人で100g/頭与えておくと、含まれているGABAの働きでおとなしい牛になるので、より速やかにストレスなく群を作り直すことができますよ。

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