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蓮沼浩のコラム
第630話:飼養衛生管理基準の改正 その3

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2020年8月20日

 フナ釣りに馬鹿みたいにはまってしまっています。一体全体どうしてしまったのか・・・。カミさんも旦那が突然フナ、フナ言い出したので困惑しています。

 今回新しく改正された飼養衛生管理基準には新たに遵守すべき項目がいくつかあります。とても重要なポイントがたくさんあります。どれも大切なことなので、しっかりと現場で対応していかなくてはいけません。しかし中には小生が「え~~~~~、本当にするの??????」と思わず思ってしまった項目もいくつかあります。

 ◎猫等の愛玩動物の衛生管理区域内での飼育禁止

 猫等の愛玩動物について、衛生管理区域内への持ち込み及び衛生管理区域内での飼育をしないこと(愛玩動物の飼養を業務とする観光牧場等において、飼育場所を限定する場合を除く)。

 これにはちょっとびっくりしました。もちろん小生も獣医師なのでこのような改正が行われた理由は非常に良くわかります。しかし「飼育禁止」という文言は結構強烈です。目を閉じていろいろ思い浮かべると、何とも言えない気持ちになってきます。
 なぜかというと、小生が往診に回る農場には猫がたくさんいるからです。それこそ、猫屋敷みたいになっているところもあります。農家さんは基本的にハト、スズメ、ネズミ対策等に猫を牧場で飼っている事例が多いと思います。もちろん愛玩用として飼っている場合もあります。令和2年10月からはこの猫たちを牧場の敷地内(衛生管理区域)で飼うことができなくなります。驚いたことに猫だけでなく、番犬もアウトです。もちろん往診先の農場には番犬がいるところもたくさんあります。猫君や番犬君たちは牧場で結構いい仕事してくれています。とても残念です。かわいそうですが、彼らは10月から失業です。

 衛生管理区域内でなければ猫等の愛玩動物を飼育することができますが、果たしてうまくできるでしょうか。犬であれば、犬小屋の位置をずらしたりすることで対応ができると思うのですが、放し飼いになっている猫は非常に対応が難しそうです。

 そして、今まで猫や犬が頑張ってくれていた仕事は人様がやらなくてはいなくなります。ネズミ対策は粘着シート等を使い、野生動物対策は柵や防鳥ネットを設置し、防犯には監視カメラを取り付けて取り組む必要がありそうです。ものすごいスピードで牧場の形も変わっていくことになりそうですね・・・。

今週の動画 「検温 Measurement of body temperature」

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