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戸田克樹のコラム
第295話「その初乳給与、ちょいとお待ちを!⑤」

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2020年8月5日

セミが鼓膜を突き破りそうな勢いで鳴き散らしています。元気すぎます…。

すっかり忘れていましたが、もうひとつ飲乳欲を引き出すための方法がありました。

少量の初乳をゴックンさせてみましょう
飲み物が口の中に入ってくると、「ごっくん」と飲み込む嚥下反射が起こります。牛はこの嚥下反射のときに第二胃溝反射という特殊な反射が起こります。この反射の結果、食道が第四胃と直接つながります。その結果、ミルクは第一胃~第三胃を通ることなく四胃へと流入してくれます。

ここで活躍してくれるのが注射ポンプです。10mlでも20mlでも構いません。絞った、あるいは作った初乳をポンプで吸って、口の中に含ませてください。少しでも飲んでもらうことができたら休憩です。たとえ少量であっても、その「ごっくん」がきっかけで飲乳欲がでてくる(腸管が動き始める)こともあります。もちろん、先週のコラムに記載したように体をふいたり胎便を出したり、といった作業が終わってからの話ですのでご注意を。

カテーテルを使っての初乳給与も重要な手技であることは間違いありません。それが実施できる農家さんはその技術を牧場スタッフにぜひ教えてあげてください。しかし、カテーテルでの初乳給与はあくまでも最終手段です。まずは子牛が自力で初乳を飲めるようにすることを意識した初乳給与に取り組んでみてください。

つづく

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