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戸田克樹のコラム
第294話「その初乳給与、ちょいとお待ちを!④」

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2020年7月29日

そうはいってもやっぱり「出生後6時間以内に初乳はやっぱり飲んでほしい!」
それでは、できるだけ負荷をかけずに少しでも早く初乳を飲んでもらうにはどうすればよいのでしょうか。

体をゴシゴシ!
まずは生まれてすぐに母牛が子牛を舐めてくれるかどうかは重要なポイントです。
牛の舌表面は舌乳頭とよばれる無数の突起があり、タワシのようにザラザラ&トゲトゲしています。

子牛の体表についている羊水を除去するのはもちろんですが、このザラザラで子牛の覚醒を促しています。意識が朦朧としていても、タワシでゴシゴシされたら嫌でも「うぎゃー!!」と起きるはずですよね。

母牛が舐めなければ、タオルやブラシなどで人間が代わりに子牛の体表をゴシゴシこすってあげましょう。このゴシゴシ刺激を受け、腸管も少しずつ覚醒し蠕動運動を始めるようになります。

おしりをグリグリ!
ある程度子牛の意識がはっきりしてきたら、次に肛門を刺激して胎便を出しましょう。体温計の先端や綿棒などを肛門に入れて、やさしくマッサージをしてみてください。か弱いながらも、きちんと力んで便をだそうとします。その「力み」、そして「胎便を出す」という行為が腸管の蠕動運動を促進してくれます。

もちろん、明らかに衰弱している場合は早急に治療する必要がありますので、獣医師に連絡して適切な処置を行ってもらってください。生まれた子牛が衰弱していた場合の対応についていつでも対応できるよう、牧場内で対応マニュアルを作っておくのも良いですね。

つづく

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