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松本大策のコラム
「肺炎の防除のお話5 免疫とワクチン2」

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2007年1月22日


 生ワクチンにせよ不活化ワクチンにせよ、ワクチンは接種後2〜3週間しないと牛さんは十分な抗体を作ることができませんから、肺炎が流行してきたからといってワクチンを打ってもなかなか間に合いません。また、肥育牛の場合は導入から10日くらいが最も肺炎が多発する時期です。これは群編成ストレスで免疫が低下するためです。導入後のワクチン接種では、この時期の肺炎を防ぐことはできません。
 また、この時期にワクチンを打っても、元々導入や群編成のストレスで免疫が低下する時期ですので、ワクチンの効果が現れにくいことも往々にしてあります(ワクチンの効果を調べるには、血液を採って抗体価というのを調べます)。
 同じ理由で、哺育から育成に移動する群編成の時にワクチンを打つこともお勧めできません。せっかくワクチンを打っても群編成ストレスで免疫が上がらないことが多いからです。肥育でしたら導入前にワクチン接種をしてある子牛を選ぶのが理想的ですし、育成農家さんの場合でしたら哺育にいるうち(ただし、生後30〜40日は、初乳由来の免疫抗体があるのでワクチンが無効になることがあります。よほど早期に肺炎が流行するヌレ子導入農場以外では、この時期を過ぎてからの接種がよいでしょう。)、もしくは育成舎に移動して群が落ち着いてから(群編成後3週間経過後)にワクチン接種した方がよいでしょう。意外にワクチン接種時期がまずいために効果が上がっていない農場を見かけます。ウイルスを防ぐにはワクチンは効果的な手段ですから、接種するときは時期などを間違えないようにしましょう。僕が指導する農場では、肺炎が多発する時期(たいていは3ヶ月齢くらいから)の3週間くらい前にワクチンを済ませるようにしています。
 それから、マンヘミアという細菌で起こる肺炎が蔓延するようならマンヘミア専用ワクチン(リスポバル:ファイザー社)もあります。掲示板の方に詳しく出ていますので参考にしてください。
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