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松本大策のコラム
子牛の下痢とIBRと

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2020年7月6日

 このところ、関東のコンサル先でIBRの眼病型と思われる角結膜炎が散発しています(写真)。これは、牛ヘルペス1型ウイルスによる症状のひとつなので注意しましょう。肺炎5種混などのワクチンを打っていてもなかなか防ぐことができないようです。初期に見つけて細菌の二次感染を防ぐことができれば、重症化もせずに治癒します。

 届出伝染病ですが、家畜保健衛生所に届けても、決して罰せられませんし、何のペナルティーもないので、家畜保健衛生所が衛生情報を流すためにもきちんと届けましょう。

 並行して、子牛の水下痢が止まらず、次第に弱って後肢の震えから起立不能に陥り、急に低体温になるタイプの下痢も多発しています。通常、こういった下痢はロタウイルスやコロナウイルスが原因のことが多く、輸血すると翌日には元気に歩き回っている、というケースが多いのですが、今回のケースでは結局死に至るものが3頭ほど出てしまいました。
 後肢の震えや脱力というと、ボツリヌス感染の時に見られやすい症状ですし、ボツリヌス菌も、カラスなどが運ぶクロストリジウムの仲間です。カラスの多い農場では、ぜひ鳥対策(特に水場の周り)を徹底した方がよいと思います。ボツリヌス菌は「嫌気性菌」といって空気のないところで繁殖するからです。

 補液も早めに開始し、輸血や適切と思われる抗生物質も投与していますが、効果が上がりません。現在、家畜保健衛生所やワクチンメーカーと協力して原因を調べているところですので、解り次第また皆さんにご紹介しますが、とにかくできるだけ衛生度を上げて予防しておいてください。

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