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蓮沼浩のコラム
第624話:代替肉(だいたいにく)その4

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2020年6月25日

 最近突然「フナ釣り」を始めました。ほんの少しの時間でも竿を出すのはいいですね。近所によい釣り場があるのでありがたいです。
 
 
 前回紹介したように、今のところ日本では「代替肉」が急激に拡大する可能性はそこまで高くないと小生は思っています。しかし、いくつかの点で今後「代替肉」の需要がたかまることがあるかもしれません。

その1 「代替肉」の食味の改善
 技術革新が進み「代替肉」の食味は今までとは比べ物にならないくらいによくなっているといわれています。特にハンバーガーのパティやチキンナゲットなどは非常においしいという話を聞きます。海外のマクドナルド、バーガーキング、KFCなどの大手外食チェーンが「代替肉」の使用を開始しています。消費者の期待に答えられるようにこれからさらに食味の改善が進んでいくと思われます。

その2 家畜伝染病と気候変動の影響
 養豚の世界では現在「アフリカ豚熱(ASF)」が猛威を振るっています。現在進行形でヨーロッパをはじめアジアで発生が続いています。日本の近場で言えば、お隣の韓国でも依然として野生のイノシシでの発生が続いています。本当に対処が難しく、これからもまったく油断ができません。中国ではこのウイルスにより大量の豚がいなくなってしまったことから、豚肉価格が上がったと聞きます。日本では「豚熱(CSF)」が広がり、大きな被害が出ています。豚だけでなく、多くの野生イノシシに感染が広がり、現在も感染の抑え込みにむけて全力で取り組んでいます。このほかに鳥インフルエンザなども非常に強力な伝染病になります。もちろん牛さんの世界でも口蹄疫という強力な伝染病があります。

 これらの家畜伝染病は肉の需給バランスを大きく変えてしまう可能性があります。もしも西ヨーロッパ諸国や南北アメリカで発生すれば、輸出が止まることからとてつもなく大きな影響がでると思います。また、世界的な気候変動の影響もあります。昨年オーストラリアでは大干ばつと森林火災で畜産業は大きなダメージをうけています。

 世界人口が増えていく中、安定した肉の供給体制をとり続けることは非常に難しい時代になっているかもしれません。そのような中で「代替肉」の需要は高くなってくる可能性があります。

 未来のことはわからないので何とも言えませんが、小生は大きく上記のような理由からこれからも「代替肉」の動きを注視していきたいと考えています。

今週の動画
「 牛の助産のやり方 (その3) How to do midwifery of a cow.(Part3) 」

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