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蓮沼浩のコラム
第623話:代替肉(だいたいにく)その3

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2020年6月18日

 本格的に梅雨らしくなってきましたね。それと同時に子牛の疾病が増えてきたように感じます。今まで以上に衛生対策はしっかりしたいですね。

 小生は肉用牛の獣医師であることから、「代替肉」の今後の動きに関しては非常に興味があります。そのためにいろいろと情報を集めているのですが、今のところ日本ではアメリカのように急激なブームがおきる状況にはなっていないという判断が大方のように感じます。

 農林水産省の報告を読ませていただくと、現在の日本では肉の消費量が増加傾向にあるといいますが、いまだにアメリカ人の半分以下(アメリカ人1人あたりの肉消費量:115kg 日本人一人当たりの肉消費量:53kg 2017年 米国農務省 IMF)であり、アメリカ人ほど「肉を食べすぎている」という問題意識を日本人はもちにくく、肉を控えて「代替肉」を選択するという動機が強くない。大豆の消費に関して、日本人は豆腐や納豆など普段からたくさん消費しているため、あえて積極的に摂取しなくても足りている(アメリカ人1人あたりの大豆消費量:0.04kg 日本人一人当たりの大豆消費量:8.19kg 2007年 FAO)。日本では特にコストを上げてまで肉に似せることに対して、欧米ほどに評価されない可能性がある、というような見解がでています。今のところほとんどの人は「代替肉」など知らないし、知っていたとしても現在の日本人の感覚は上記のようなものだと小生も思います。

 しかし、世界を見渡すと「脱ミート」という概念が世界的な潮流にもなってきています。昨年オーストラリアに視察に行った時もこの「脱ミート」という概念に触れる機会がありました。欧米人の健康志向、人口増加と環境問題意識の高まり、動物愛護、代替肉自体の味の改良などが大きく影響しているといわれています。10年以内に世界で販売される肉全体の約10%相当を「代替肉」が占める、2018年には119億ドルだった世界市場の規模が2025年には212億ドルになるなどと試算している報告もあります。日本でも実は徐々に「代替肉」の量が拡大してきているとも報告されています。確かに以前と比べて格段にこの「代替肉」という言葉を見聞きする機会がふえていきていることは間違いありません。日本の食品メーカーも少しずつですがこの「代替肉」に今までよりかは積極的に着手しているようにも思います。ちょっと調べればすぐにわかりますが、商品のラインナップもすさまじいものがあります。このような状況を見ていると、徐々にですが世界が変わってきているように感じます。

今週の動画
「 牛の助産のやり方 (その2) How to do midwifery of a cow.(Part2) 」

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