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戸田克樹のコラム
第288話「梅雨になると思い出すマイコトキシン⑤」

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2020年6月17日

カビが発生しなければマイコトキシンも生まれません。

「とにかくカビを生やさない!」という意識が大切です。

夏場は飼料の変敗予防のため、配合飼料の中で紙袋注文に変更できるものは切り替えましょう。配合飼料や粗飼料の保管場所にも注意が必要です。湿度が高い場所であれば場所を替え、なるべく通気性が良いところで保管するのが良いですね。ラッピングしたロールについても隙間や傷がないか、十分に巻けているかの確認も重要です。収穫時期に雨が続いていたものをサイレージにしたり、ラップに裂け目があったりすると、開けてみたらカビだらけ…という結末を迎える可能性が非常に高くなります。

空気中に漂うカビの胞子がフワフワと下りて飼料に付着し、温度や湿度などの条件が揃えばたった数時間でカビは生えてしまいます。「明日の朝すぐにエサを配れるように」と台車にエサを入れておくと、たった一晩で表面にカビが生えてしまうこともあります。さらに日中はもっと危険です。牛がエサを食べた後の飼槽には牛のヨダレ、鼻水、水槽から流れてきた水などの「適度な水分」が残っています。残滓に適度な水分が加わると、カビが生えやすい環境が整ってしまいますね。

梅雨の時期はこまめに残滓を取り除き、なるべく飼槽が乾燥した状態を保つことが大切です。もし、朝に配ったエサが午後に行う2回目の給餌の際に残っていたら迷わず取り除いてください。確かにもったいないです。しかし、目に見えないカビがおそらくもう生えてしまっています。心苦しいところですが、牛がそれを食べて体調を崩してしまうよりは良いのではないでしょうか。

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