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戸田克樹のコラム
第287話「梅雨になると思い出すマイコトキシン④」

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2020年6月10日

もしも中毒症状が出てしまったら、肝臓のケアをしたり、補液で血液循環を確保して代謝を促進したりといった対処療法を行うしかありません。

何かできる対策はないのでしょうか。

やはりマイコトキシンを摂取させないことがもっとも重要です。そのため、カビを発生させない努力も必要になります。

マイコトキシンの難しいところは「ないと思ったところにあるかもしれない」という点です。

見てわかるようなカビが生えた場所は牛に食べさせることはないでしょうし、もし与えられても基本的にはあまり食べてくれません。しかし、それ以外の「一見カビがない場所」であっても油断できません。マイコトキシンはジワジワと広がり、カビが生えていないような場所でも検出されるケースがあります。意外にもカビが生えていない場所の方がカビの生えた場所よりも高濃度のマイコトキシンが検出された事例もあります。

例えば写真のようなロール全体にカビが生えてしまった場合、本来であれば全廃棄してほしいところです。粗飼料もタダではありませんので使いたい気持ちも分かります。もしカビの生えている範囲が小さい場合は、そこだけでなくその周囲も大きく取り除けばマイコトキシンの影響は少しは抑えられるかもしれません。その際も他のカビに汚染されていない粗飼料と混ぜて給与することで総摂取量を抑える必要があります。しかしやはり、理想的にはカビの生えた飼料は処分してほしいところです。

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