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第286話「梅雨になると思い出すマイコトキシン③」

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2020年6月3日

ひとくちに「カビ」といっても、Aspergillus(アスペルギルス)属、Fusarium(フザリウム)属などの種類があります。さらに、マイコトキシンの種類はさらに多様です。現在では300種類以上も報告されており、毒性の強いものから弱いものまで様々です。1つのカビから複数のマイコトキシンが発生することもあります。

ただし、畜産現場で問題となるのは限られています。農林水産省のウェブページ(https://www.maff.go.jp/
j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem.html
)にも代表的なマイコトキシンは記載されていますので、興味のある方はぜひご覧ください。

では、マイコトキシン(カビ毒)はどんな影響を及ぼすのでしょうか。

消化管の中で悪さをする
口から入ったマイコトキシンは腸管内を流れ少しずつ吸収され、その後肝臓で代謝(無毒化or弱毒化)されて尿中に排泄されます(吸収されなかったマイコトキシンはそのまま糞中に含まれた状態で排泄されます)。マイコトキシンは「毒」ですので、まずは腸管粘膜にダメージを与えながら消化管の中を移動していきます。そのため、腸炎(下痢)が確認されやすい症状のひとつとして挙げられます。

吸収された後に悪さをする
栄養素とともに消化管で吸収されたものはまず肝臓にたどりつくのですが、そこでも悪さをします。肝細胞が攻撃されると、強毒なものでは肝硬変や肝がんといった重い病症につながるものもありますし、弱毒なものでも肝細胞障害(肝炎)によって食欲不振や活力低下を示すようになります。

排泄されるまで悪さをする
肝臓で代謝を受けた後は腎臓に移動し、尿中に排泄されます。しかし、代謝後も毒性が残っていたり、そもそも口から入った量が多かったりする場合は腎臓でも毒性が発現し腎障害が起こる場合もあるのです。

マイコトキシンの種類によって影響が出る臓器はバラバラです。しかし、行く先々で悪さをする可能性があるマイコトキシンは非常に厄介な存在です。体の外に出るまで悪さをし続ける、非常に厄介な相手ですね。

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