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笹崎直哉のコラム
手術器械について学んでみよう①

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2020年6月9日

 梅雨の時期に入り、気温も上がってきましたね。帰宅後はいつものようにオンラインで英会話レッスンを受けていますが、最近は夜でも暑いときがあり集中力が切れ気味です。そろそろクーラー始動を考えています。扇風機だけで耐えられるのはいつまでかな・・・。
 
 
 現場で診療していれば、急に手術になって仕事の予定が狂ってしまうことがあります。いざ手術になっても、それに必要な道具が診療車のどこに積んであって、どのくらい必要で、どのタイミングで使うのかを分かっていれば、気持ちよく、スムーズに準備することができます。

 さて、今回は細かい分野になってしまいますが、手術でつかう器械(獣医さんはオペ器具などと呼んでいますが)について「いつ、どこで、どのように使うか」を紹介していきたいと思います。

 手術になれば、私はまずこれを準備します。

 カミソリですね。これは手術で一番最初に使う器械で、術野の除毛を目的とします。動物の被毛や皮膚に存在する個体自身の細菌が原因で感染症が成立するケースがあるので、カミソリでしっかりと除毛し、物理的に細菌を除去し、手術部位感染:SSI( Surgical Site Infection )を予防します。

 ヒト医療では、カミソリを含め剃刀による剃毛が皮膚に外傷を与え、SSIの発生率を上昇させることが明らかになっているので、除毛は電動バリカンで行うことが多いようです。もちろん牛さんもカミソリを使うことで、皮膚を傷つけたり、痛みのリスクが発生します。それでもカミソリを使う理由は大きく2点あり、

 ・被毛に糞尿、ダスト、敷料が高い確率で付着し、汚染度が非常に高いため。
 ・牛さんの皮膚は分厚く頑丈なため。

が考えられます。でもバリカンを用いて除毛することもあります。例えば腹部超音波検査でエコー使う場合なんかは、検査部位の除毛を徹底する必要がないため、SSIの考え方に沿って電動バリカンなどで除毛を行うようにしています。また手術時もバリカンで大まかな被毛を除去した後、カミソリで仕上げの剃毛するケースもあり様々です。

つづく

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