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松本大策のコラム
牛さんの飲み水にも気をつけよう、のお話

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2020年6月8日

 コロナがようやく下火になろうとしてますが、もう今年も半分。めっちゃ暑いですね。
 僕たちは、何時間かでもエアコンのある部屋に入れますけど、牛さんはそうもいかないので暑熱対策もしっかりしてあげましょうね。

 さて暑いというと、人間でも熱中症予防に水分をとらなくてはいけないと最近話題になっていますが、これは牛さんでも同じです。ウォーターカップは壊れていないか、水槽は汚れていないか、流水量は十分足りているか、しっかり見てあげましょう。
 しかし、せっかく水を与えていても、それが牛さんの健康を害するケースがあるため、そこにも気を付けなければなりません。
 
 いくつか例を挙げてみましょう。まず思い出すのが、山水を子牛に飲ませているが、夏場になると「子牛が垂れ腹になる」というものです。いろいろと聞き取りをしたところ、夏場は水が赤茶色に濁って、下痢も出てくる、ということでしたので、水の汚れで第一胃の発酵も乱れた結果、下痢も出て、またお腹も力なく下垂する、ということを推測し、上水道に変えていただいて改善した事例があります。
 また、子牛の下痢がいずれの子牛にも必ず出る農場で水を調べたところ、サルモネラ菌がうじゃうじゃいて、これでは毒を飲ませているようなものだ、ということで、ここも井戸水から上水道に変えていただいたところ子牛の下痢はすっかりでなくなりました(こうしてシェパードは診療収入が減っていくのです 涙)。

 肥育牛でよく見かけるのが、石灰土壌(西南諸島のサンゴ隆起島やカルスト台地など)の井戸水の硬度が高くカルシウム含有量が多すぎるために、尿pHも高くなって尿石症が出るという事例です。こういうケースでは、やはり水を変えるか、試料中のカルシウム含有量を減らすか、いっそゼロにすることで解決することが多いのです。

 このように、お水が原因の体調不良もあるので注意しましょうね。

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